研究課題
素粒子物理学の標準理論を超える理論として有力視されているモデルの一つに、標準理論のゲージグループ下ではチャージを持たないフェルミオン、ステライルニュートリノを導入するモデルがある。本研究では、KEKBファクトリーで得られたビッグデータを使ったタウレプトン崩壊の精密測定によって、ステライルニュートリノの探索を行っている。標準理論では、電弱カレントのLorentz structureはV-A型をとる。レプトン崩壊のパラメータであるMichelパラメータを測定し、標準模型の期待値と比較で、V-A型以外の結合を持つ新物理の寄与を探索することができる。特に、輻射レプトン崩壊(radiative leptonic decay; τ → μννγ と τ → eννγ)を用いることで、通常の崩壊では測定できない2種類のMichelパラメータの測定が可能となる。また、τ- → π-l+l-ντという稀崩壊の崩壊幅は、ステライルニュートリノの存在によって、標準理論の期待値を上回る可能性がある。Belle実験で得られた約9億のタウ・反タウ対を含むビッグデータを用いて、データの解析を進めた。スーパーKEKB用前方電磁カロリーメータの要素研究として、純粋CsI 結晶＋ Wave Length Shifter）＋ APD の組み合わせの最適化を行った。
2: おおむね順調に進展している
輻射レプトン崩壊(radiative leptonic decay)の解析を完成させ、結果を出版した。電磁カロリーメータの要素開発も進展した。
τ- → π-l+l-ντの解析を完了し、結果を出版する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2018 ページ: 023C01～023C01
10.1093/ptep/pty003
Journal of Physics: Conference Series
巻: 912 ページ: 012002～012002
10.1088/1742-6596/912/1/012002
Nuclear and Particle Physics Proceedings
巻: 287-288 ページ: 215～217
10.1016/j.nuclphysbps.2017.03.080
巻: 287-288 ページ: 212～214
10.1016/j.nuclphysbps.2017.03.079
