研究実績の概要 |
本研究の目的は、二重荷電交換反応4He(8He,8Be)の質量欠損スペクトルに4事象発見されたテトラ中性子共鳴の候補の検証を行うことである。 このために、運動学的には全く同じだが、統計量を増やし、精度を高めた4He(8He,8Be)4n反応の測定を実施した。実験は平成28年に、理化学研究所RIBF施設の高分解能ビームラインおよびSHARAQ磁気分析器を用いて行われた。3MHzを超える大強度8Heビームの測定のために、ビームライン検出器を強化した。質量欠損エネルギー較正の精度を高めるため、同一のビームライン、磁気分析器の条件で、ほとんど同じ運動学になる、既知の1H(3H,3He)1n反応の測定を行い、100keV程度の精度が得られた。厳しい事象選別条件の下における少統計の解析で以前と無矛盾な結果が得られた。測定精度、統計精度および信頼度の向上のために、冗長性の高いビームライン検出器による偶然同時計数の排除アルゴリズムの開発、高次のイオン光学解析、SHARAQの焦点面検出器で検出された、8Beから崩壊した2つのα粒子の運動量解析のための波形分析プログラム開発をすすめた。 無反跳条件を満たす低エネルギー多核子移行反応測定実験が原理的に実現可能であることがわかり、そのための実験条件の検討および必要な検出器開発を進めた。また、本課題における海外研究協力者との共同研究としてRIBF施設のSAMURAIスペクトロメータを用いて実施された8He(p,pα)4n反応の逆運動学測定の解析により、二重荷電交換反応で得られた結果と類似した質量欠損スペクトルが得られ、閾値直上に強く相関した4中性子状態を観測した。 少数系における核反応過程および多体崩壊をモデル化したシミュレーションをすすめた。 本研究および関連研究について、学会発表および国際会議、国際ワークショップで招待講演を行った。
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