研究課題
本研究では,従来の100倍を超えるダブルラムダハイパー核(約千例),グザイハイパー核(数百例)を検出し,その生成・崩壊の解析から,ストレンジネスが二つ関与するハドロン間の相互作用を実験的に解明する。これにより,現在の原子核物理学や中性子星核物質の理解にとって最重要課題の一つでもある,ストレンジネス核物理研究の飛躍的進展を促したい。その点では,申請者らが有する独自のエマルション技術が,現在唯一無二の手段であり,世界に先駆けて達成することを目的とする。まず,ダブルラムダハイパー核やグザイハイパー核を作るために必要なビーム照射実験を,当該年1月末までに終了し,照射済乾板の多くを現像処理する予定であったが,J-PARC加速器の不調等により,全体の約80%のビーム照射が最終的に平成29年6月まで遅延した。そのため,照射前に東大宇宙線研究所神岡施設の地下に保管させていただいていた乾板に対して,蓄積した宇宙線飛跡や大気中ガンマ線によるコンプトン電子飛跡の潜像退行処理を施した。その後,照射済で現像前の乾板をやはり神岡施設の地下に保管させていただくとともに,順次取り出して現像処理を続け,平成30年2月中旬にすべての乾板の現像を終了した。ビーム照射が遅れた間に現像条件の最適化をさらに進めた。その結果,厚い(片面0.5mm)乾板中の深さに関係なく,荷電粒子飛跡に対して要求する25個/0.1mmという現像銀粒子密度を達成し,飛跡に無関係に現れる銀粒子も,要求の3.0個/(10μm)^3より低い1.9±0.1個/(10μm)^3を達成した。これにより平成28年度計画の内容を終了することができた。なお平成29年3月、先行研究で検出した世界初のグザイハイパー核事象"KISO event"を報告した論文(PTEP 2015)で、第22回日本物理学会論文賞を受賞した。
3: やや遅れている
ビーム照射が当初予定より約半年遅れたため
グザイ粒子の自動追跡の最適化を押し進め、約半年の遅れを取り戻す
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 10件、 査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
日本物理学会講演概要集
巻: 71.1 ページ: 380
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巻: 71.1 ページ: 381
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巻: 71.1 ページ: 382
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巻: 71.2 ページ: 185
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巻: 71.2 ページ: 186
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