研究課題
本研究では,従来の100倍を超えるダブルラムダハイパー核(約千例),グザイハイパー核(数百例)を検出し,その生成・崩壊の解析から,ストレンジネスが二つ関与するハドロン間の相互作用を実験的に解明する。これにより,現在の原子核物理学や中性子星核物質の理解にとって最重要課題の一つでもある,ストレンジネス核物理研究の飛躍的進展を促したい。その点では,申請者らが有する独自のエマルション技術が,現在唯一無二の手段であり,世界に先駆けて達成することを目的とする。平成29年の6月末、J-PARCにてすべての乾板へのビーム照射を終了すると同時に、現像を開始した。岐阜大学の「ダブルハイパー核実験棟」では、乾板60枚/サイクルを現像処理でき、10日/サイクルを20サイクル繰り返し、平成30年2月中旬に現像を完了した。一方、本年度より雇用した研究支援員のもとで、現像を終了した乾板から、グザイ候補粒子の自動追跡を開始した。現像処理後の乾板のコントラストなどの条件が、最適化を進めてきた過去の乾板と異なるため、新たに最適化が必要になった。具体的には追跡中に、乾板中での角度や位置が近い飛跡を追跡中の飛跡と誤認識するもので、追跡すべき候補粒子の10~20%で起こっていると考えている。現在、技術補佐員を雇用して、この誤認識のパターンの把握に努めている。これまでのグザイ追跡により、分岐点を三つ持つダブルラムダハイパー核候補3例と、二つの分岐点を持つシングルラムダハイパー核候補が5例検出されている。核種を同定するには至っていないが、着実に検出できている点は、実験そのものの大きなミスの存在を払しょくできると考えている。今年度から分担で加わった理論の方では、信頼できるグザイ-核子間相互作用の議論に入り、中間子論に基づくΞN相互作用および、格子QCD理論による相互作用を活用できるところまで行きついた。
3: やや遅れている
ビーム照射が当初予定より約半年遅れたため
グザイ候補粒子の自動追跡の最適化を押し進め、約半年の遅れを取り戻し、平成30年度内に全面スキャンに移行する。そのために、カメラや駆動ソフトの改良を進める。理論の方では、NN-グザイ、NNN-グザイ、A-12以上のグザイハイパー核のエネルギー準位を計算し、グザイ-核子間相互作用のどの部分を暴くことができるかの議論を推進する。
研究現場発:顕微鏡から宇宙を思う 中部経済新聞 2017年8月22日(3面)
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