研究課題/領域番号 |
16H02184
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南條 創 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (40419445)
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研究分担者 |
塩見 公志 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (40648036)
中家 剛 京都大学, 理学研究科, 教授 (50314175)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | MPPC / カロリメータ / 中性子弁別 |
研究実績の概要 |
四次元カロリメータの実現にむけて、中性子及びガンマビームを用いた基礎性能試験を行い、このカロリメータを用いて中性子ガンマ線の弁別が可能であることを実証した。四次元カロリメータは、結晶の下流部からのPMTによるシンチレーション光読み出しに加えて、上流部にMPPCを設置し読み出しを行う。この両読みの時間差をとることで、シンチレーション光が結晶奥行きのどこから来るかの情報を引き出し、反応点の深さを再構成する。ガンマ線と中性子による反応点深さの分布が異なるので、これを用いて中性子とガンマ線の弁別を行う。2016年度は、80MeV中性子を用いた予備テストを経て、400MeV中性子及び100-200MeVガンマ線ビームを用いて、undoped CsI結晶の両読みの試験を行った。この結果、期待通りに中性子事象をガンマ線と弁別することに成功した。MPPCの読み出し方法については、宇宙線を用いた研究から、UV透過フィルターを用いず、結晶端面の反射材をなるべく保存することを決めた。また、10倍のアンプを製作し、十分広い周波数特性と、大きなS/Nを確認することができ、その基本設計を完了した。さらに、MPPCの中性子に対する応答を試験した。中性子照射量の増加にしたがい、リーク電流の増加、読み出しのノイズの上昇を確認したが、それでも実際の信号読み出しのS/Nで10程度は確保できる見通しであり、大きな問題とならないことも確認することができた。設計が進み、また性能試験をおこなっており、2017年度の量産に向けてよい準備ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた中性子にたいする性能評価を行い、予定通りの性能がえられた。来年度の統合試験に向けてはやや遅れが出ているものの、総合的には順調な進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度秋に統合試験を行う一方、前期には宇宙線による性能評価により全貌の把握を行う。MPPCの全数試験システムを構築し、これにより統合試験を準備するとともに、後半の量産に備える。2018年度にJ-PARCのKOTO実験への実装を目指す。
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