研究課題
未知の素粒子「暗黒物質」と原子核との弾性散乱による反跳原子核を検出する手法は「直接探索」と呼ばれ、ここ数年で大質量検出器による制限が大きく進んだ一方で、14サイクルの季節変動を報告しているDAMAの結果も依然として残っている。到来方向に有感な手法など、確度の高い手法によるDAMA領域やその先の探索は急務である。本研究では、大型陰イオンガスTPCを製作・地下実験を行い、方向感度実験による暗黒物質の制限について1桁以上の更新を目指す。平成31年度は、地下実験・検出器製作・IC性能評価について順調に研究が進んだ。<地下実験>小型のチェンバーで行った方向に感度のある暗黒物質探索実験の解析を進め、感度を1桁以上更新した。結果を国際会議で口頭発表するとともに、論文として発表した。<検出器製作>ドリフト距離の測定を可能としながらも、ガスゲインを得にくいSF6ガスを用いるためのキーデバイスが、MPGD(微細加工技術を用いたガス検出器)である。平成31年度は、これまでの研究をまとめた陰イオンガスTPCを稼働させ、世界初となる三次元飛跡検出とドリフト方向の絶対位置測定を実証した。この結果を論文として投稿した。また、MEMを用いた高性能MPGDの基礎開発も進めた。<IC性能評価>KEKと共同で開発している、ICの性能評価を行った。低ノイズ化を進めたノイズ改良型IC「LTARS2018」の評価を進め、1チップを搭載したボードで、デザイン通りの挙動をしめすことを確認した後、システム化を見据えた2チップ搭載ボードを完成させた。<理論的研究>方向に感度を持つ検出器による銀河内での暗黒物質の運動に対する感度の評価、中性子星に堆積した暗黒物質の検出、さらに標準模型を超える新しい物理を暗黒物質やニュートリノの極微質量などを手がかりとして探求する研究、といった複数の論文を発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 16件、 招待講演 13件) 図書 (1件) 備考 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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