研究課題/領域番号 |
16H02190
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
谷田 聖 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00360587)
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研究分担者 |
岡田 信二 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 協力研究員 (70391901)
山田 真也 首都大学東京, 理学研究科, 助教 (40612073)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エキゾチック原子 / 実験核物理 / X線分光 |
研究実績の概要 |
K中間子ヘリウム原子X線分光実験(J-PARC E62)は、J-PARCハドロン実験施設のK中間子ビームライン(K1.8BR)において、2018年6月に約1ヶ月間、物理データの収集を行った。その結果、K中間子ヘリウム原子(He3 / He4 双方)の3d→2p X線を、超伝導遷移端X線検出器(TES)システムによりΔE/E=0.001という高分解能で測定することに成功した。これは従来の半導体検出器に比べて20倍程度も良く、エネルギーの決定精度の圧倒的改善が見込める。現在、2019年度中の印刷公表を目指し、詳細なデータ解析を進めている。 一方、将来実験に向けた硬X線用TESの開発に関しては、共同研究先の米国国立標準技術研究所(NIST)と現地にて打合せを行い、吸収体の物質・形状・サイズ・厚さなどのパラメータや、多素子TESの読出し方式などの基本設計を決定した。更に、この基本設計に従い、試作機の詳細設計も行った。2019年度内の性能試験を目指し、NISTと共に試作機製作を進めている。 Ξ原子X線分光実験(J-PARC E03)については、2017年から2018年にかけて行ったテスト実験の結果、Ξ粒子の収量、X線バックグラウンド共に予想の範囲内であり、本実験を行うことに何の問題もないという結論を得た。また、そのことをJ-PARCの実験審査委員会(PAC)において報告し、PACから"it is now appropriate to press ahead with high priority."とのコメントを頂いた。これにより、E03が現在行われている実験(E40実験)の次に行われることが事実上決まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K中間子ヘリウム原子X線分光実験(J-PARC E62)は、物理データの収集に成功しデータ解析も順調に進んでいる。硬X線対応TES開発に関しても円滑に推進しており、2019年度内の試作機製作の見通しが立っている。Ξ原子X線分光実験(J-PARC E03)は、次の実験になることが事実上決まり、後は粛々とセットアップを進めてビームタイムを待つのみとなった。従って、こちらも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
E62実験は、データ解析を完了させ、早急に印刷公表を行う。一方、硬X線対応TESの製作をNISTの共同研究者と共に推進し、性能試験を遂行する。Ξ原子のX線分光実験(J-PARC E03実験)については、これまでの努力が実って、次の実験になったので、現在行われている実験(E40実験)が終了し次第現場に検出器を置いてセットアップを開始する。2020年1月までにはセットアップを完了させ、ビームを受けられる態勢にする。
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