研究課題/領域番号 |
16H02212
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐野 雅己 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40150263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 層流・乱流転移 / シア流不安定 / Directed Percolation / 非平衡相転移 / 臨界現象 |
研究実績の概要 |
古典流体で、チャネル流におけるシア流による層流・乱流転移がDP(Directed Percolation)普遍性クラスに属するという結果を昨年発表した.3次元PIV装置の導入も順調に計画通り進行している。また、数値シミュレーションにより、移流と活性壁のある場合のDirected Percolationの臨界指数をどのように測るべきか指針を与える仕事をまとめた。H28年度はその他、液晶電気対流におけるDSM1-DSM2転移において、マイクロ流路を用いて、流速を制御しながらDP転移を調べる実験を行った。観測は、全体の空間構造を一度に測定できる光学系と可視化システムを開発することで、チャネル流では不可能であった、オーダーパラメータ―の空間分布を全空間で同時に測定することが可能となった。この装置を用いて、シア流を加える実験を行い、活性壁と移流のある条件で、チャネル流の実験と同じ方法で測定を行い、液晶電気対流におけるDP転移がこの条件下でもロバストであり、3つの独立な臨界指数が測定できることを明らかにし、移流のある場合の測定方法の有用性を実証することに成功した。チャネル流では測定できなかった動的臨界指数の測定にも成功し、システムサイズが大きく取れるため、スケーリング領域も2桁以上確保できることが明らかとなった。これらの結果により、今後は電圧と流速の2パラメーターによる臨界線の測定や速度を変化させた場合のクロスオーバーなどの測定も可能になると期待される。この成果は、現在、投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
液晶電気対流におけるDSM1-DSM2転移においてシア流を加える実験では、活性壁と移流のある条件で、チャネル流の実験と同じ方法で測定を行い、液晶電気対流におけるDP転移がこの条件下でもロバストであり、3つの独立な臨界指数が測定できることを明らかにし、移流のある場合の測定方法の有用性を実証することに成功した。この実験では、これまでできなかった広い領域を一度に撮影するシステムを構築し、チャネル流では測定が難しかったオーダーパラメタ―の空間依存性を連続的に測ることが可能となった。これにより、移流のある場合に特徴的な、電圧と流速の2パラメータ―による測定や、Spreadingの測定も可能となり、今後の研究の進展が大いに期待できる。これら成果は、現在、投稿準備中である。理論面では、移流のある場合の速度によるクロスオーバー現象に関して成果を得ており、現在、投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
移流のある液晶乱流系において、広い範囲でスケーリングを満たし、DPが移流に対してロバストであることを示す証拠が得られたため、今後はSpreading実験などにより、局在構造の寿命に関する2重指数分布やRare Event Statisticsとの関連を実験的に明らかにすることを計画している。また、チャネル流に関しては、3次元PIV装置による計測と可視化による計測が同様の結果を与えることを確認する実験を行う。
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