研究課題
惑星周辺の宇宙環境(電磁気圏環境)は、惑星の固有磁場強度によって大きく異なる。しかし現在、固有磁場強度が変化したときに、電磁気圏環境や大気流出量がどのように変化するのかを予測できる段階には達していない。本研究の目的は、地球と火星の比較に基づいて、地球型惑星の電磁気圏環境に固有磁場強度が与える影響を解明することにある。2019年度には、これまで行ってきたMAVEN火星探査機のデータ解析、ジオスペース探査衛星あらせとEISCATの同時観測、統計データ解析研究成果のまとめと数値実験へのフィードバック、固有磁場強度をパラメータとした火星からの大気流出シミュレーションと太陽風パラメータへの依存性調査などの結果、下記の成果を得た。まず地球に関しては、あらせ衛星による内部磁気圏でのイオン観測データの統計解析から、分子イオンの流出がこれまで考えられていたよりも頻繁に起こっていることが明らかになった。分子イオンの流出は、高度300km以下の低高度電離圏からの効率のより大気流出が起こっていることの指標である。この流出機構を調べる為、EISCATレーダーとあらせ衛星との同時観測事例を解析した結果、磁気嵐時のサブオーロラ帯での電場の局所的強まりによりイオン加熱が、この効率的な大気流出に重要である可能性を示唆する研究結果を得た。また、固有磁場を持たない火星においては、太陽動圧が高い条件下で、低高度電離圏から太陽風電場の侵入によって二酸化炭素イオンの流出が引き起こされていることを明らかにした。これらのデータ解析結果を踏まえて、太古火星における電離大気流出のグローバルシミュレーションを惑星の固有磁場強度を変更して行った結果、太陽風動圧が固有磁場の磁気圧より強い条件下では、固有磁場の存在が大気流出率を増加させるが、磁気圧が弱くなると減少に転じることなどが明らかになった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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