研究課題/領域番号 |
16H02233
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 俊嗣 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (80344125)
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研究分担者 |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
山本 裕二 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 教授 (00452699)
中村 教博 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (80302248)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 古地磁気強度 / ベリリウム同位体比 / 伏角異常 / IODP |
研究実績の概要 |
東部赤道太平洋の国際深海科学掘削計画(IODP)Site U1335コアについては、等温残留磁化獲得実験、低温岩石磁気測定、透過電子顕微鏡による磁性鉱物観察等の岩石磁気分析を行うとともに、伏角異常を求めるためのデータ解析を行った。 昨年度に乗船研究を行ったIODP Expedition 363について、テキサスA&M大学のIODPコア保管施設において、西部赤道太平洋のSite U1490の約870万年前から約1500万年前の堆積物から、古地磁気測定用Uチャネル試料を83本採取した。高知大学海洋コア総合研究センターにて、パススルー型超電導磁力計を用いて残留磁気測定・非履歴性残留磁化の付与と測定を行った。得られた結果について、予察的な古地磁気層序と併せて、アメリカ地球物理学連合2017年秋学会等にて報告した。 ベリリウム同位体分析については、U1335のUチャンネル試料を対象に分析を行うことで、過去840万年間で平均15万年解像度のベリリウム同位体記録を得た。この記録を、正磁極期と逆磁極期に分けて比較した結果、双方を識別できる有意な差は認められなかった。より解像度の高い分析についても、松山・ブルン地磁気逆転境界やガウス・松山地磁気逆転境界を対象に試料の前処理を行った。ベリリウム同位体分析の副次的情報として、試料中の炭酸含有量が最大で95%にも及ぶことが明らかになり、これに特化させることで試料前処理の手間を軽減できる可能性が示唆された。 また、西部赤道太平洋の堆積物から得られた過去300万年間の相対古地磁気強度変動と、ベリリウム同位体変動との比較から明らかにした堆積残留磁化獲得深度について、論文として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定装置(パルスマグネタイザー)の故障・修理により、東部赤道太平洋のIODP Site U1335コアの岩石磁気分析については予定より遅れが生じ、予算の一部の繰越申請を行ったが、他の研究項目については順調に進捗しているため、総合的には「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
東部赤道太平洋のIODP Site U1335コアの研究については、岩石磁気分析を完了させるとともに、絶対古地磁気強度データとのキャリブレーションを行い、過去8百万年間の古地磁気強度及び伏角異常について、論文としてとりまとめる。西部赤道太平洋のIODP Site U1490コアについては、古地磁気強度推定のための分析を進める。ベリリウム同位体分析については、地磁気逆転境界付近についての高密度測定を行う。
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