研究課題
西彼杵変成岩中の石英炭酸塩岩(蛇紋岩がCO2の作用で炭酸塩岩化した岩石:リストベナイト)中に発達するシュードタキライトから、新たにナノダイヤモンドを発見した。シュードタキライトはごく微粒のマグネサイトと石英の集合体から構成されるが、この中に非晶質炭素が散在しており、その一部から、径数10ミクロンのナノダイヤモンド矩形集合体が数個発見された。このナノダイヤモンド集合体は、50ナノメーターほどのナノダイヤモンドの多結晶集合体であり、一部にはロンズデーライトの構造も確認された。ナノダイヤモンドは人工物ではありえず、コンタミでないことは確実であり、西彼杵変成岩が超高圧変成作用を受けたことがこれにより確定した。重要なことは、ロンズデーライト構造の存在により、このナノダイヤモンドが石墨からの固体相転移により形成されたことが明らかである点である。超高圧変成岩中のマイクロダイヤモンドは、変成流体からの沈殿と考えられており、固体相転移で形成されたダイヤモンドの変成岩における存在は世界初の発見といえる。このシュードタキライト中からは、マグネサイトと共存するCaCO3相も多数確認された。これは超高圧下でのドロマイトの分解を示すもので、ダイヤモンドよりもさらに高圧の条件を示す可能性があり、現在さらに検討中である。クロミタイトからは、SiO2を2 wt%程度含有する含水クロマイトが発見され、その結晶構造の解明を行った。この鉱物も世界初の発見であり、新鉱物となる可能性もある。その安定条件は明らかではないが、ダイヤモンドと共存することから超高圧条件である可能性が高い。この含水クロミタイトについては、論文を準備中である。前年度までの成果は、Sci.Reportsに投稿し、現在2度目の修正中である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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