現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度の研究によって、理論的に2004年に中辻が示した化学理論の夢・「普通の分子について化学精度でシュレーディンガー方程式の解をルーチン的に求める事のできる理論と計算化学の作成」にむかって、一つの到達点に達した。その意味で、進捗状況としては上の(1)の分類としてよい。 具体的には、LiからFまでの原子の9個の電子状態(Cについてはs2p2とsp3、Bについてもs2pとsp2) について、energyの真値からの平均誤差は0.066 kcal/molであり、化学精度をはるかに超えている。これは、分子計算や、解離エネルギーの計算などで必要である。 次に計算した分子はLiH, BH, CH, OH, H2O, C2, C2H2, H2COであり、全てそのenergyを1kcal/mol以下の精度で計算している。真値との平均誤差は0.271kcal/molで、化学精度を優に超えている。例えばホルムアルデヒドの場合、全エネルギーは -114.507 au=- 71 806 194.63 kcal/molで、真値との差が、-0.044 kcal/molである。この正確性は、驚くべきであると言ってよい。これらの結果は出るべくして出たものであり、他の分子についても、同じ程度のものであれば、安心してこの程度の結果が出ると考えている。 この研究で、すべての原子の計算研究に要した時間はほぼ1カ月、すべての分子の計算研究に要した時間はほぼ2カ月であった。勿論この時間は試行錯誤も含めての研究時間であり、計算時間ではない。 現時点で一つまだ残っている問題は、サンプリングの方法にまだ改良すべき点があることであり、引き続き研究してゆく。 また、これらの研究の成果は、その準備研究を経て、1年の最後の数カ月で出たものであり、論文にまとめる時間が無かった。引き続き発表してゆく。
|