研究課題
ホスファゼンはその単位構造であるイミノホスホランユニット(P=N構造)の連結数が増すごとに塩基性が向上する。この化学的特質に着目するとともに、イミノホスホランに効果的な基質認識能を付与するため、その両端にグアニジンもしくはホスファゼンユニットを二つ導入したC2対称性を有する触媒分子群、ならびに水素結合ドナーとなる酸性官能基と超強塩基性官能基とを組み合わせた酸塩基二官能基型の触媒分子群を「基質認識型・超強塩基性有機分子触媒」として設計開発することを計画した。これまでの研究で擬C2対称性を有するスピロ環不斉ビス(グアニジノ)イミノホスホランの開発に成功し、超強塩基性を示す有機分子触媒として優れた機能を示すことを明らかにした。一方、スピロ環不斉P3ホスファゼンの基本骨格の合成にも成功し、これら超強塩基性有機分子触媒の各種誘導体の合成とそれらを用いた触媒反応系の開拓を主に検討した。スピロ不斉ビス(グアニジノ)イミノホスホランを不斉触媒とする反応開発では、超強塩基性であるがゆえに、従来の有機塩基では活性化が困難であったプロ求核剤から活性種を発生させることに成功し、特にチオノラクトンをプロ求核剤としたケチミンとのMannich反応では高いエナンチオ選択性で生成物を得ることに成功し、スピロ不斉ビス(グアニジノ)イミノホスホランの基質認識型・超強塩基性有機分子触媒としての有用性を示すことができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 4734-4737
巻: 55 ページ: 4734-4737
10.1002/anie.201601352
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