研究実績の概要 |
初年度で、複数の対象物を同時に計測できる「電気化学カラーイメージング法」を開発した。この手法ではComplementary metal-oxide-semiconductor(CMOS)技術を用いて作製したチップデバイスを用いている。このデバイスには多数の電気化学センサが配置されており、個別の電圧制御とデータ取得が可能である。これにより、本課題で挙げたマルチスケール化が実現している。該当年度と繰越年度では、引き続きマルチカラー化した電気化学イメージング法の開発とその応用を実施した。 さらに多くの種類の化学物質を計測できるシステムとして、差分電気化学カラーイメージング法(differential electrochemicolor imaging)を開発した(Sensors and Materials, 31(1), (2019), 13-22)。この手法では、印加電圧が異なる2種類の電気化学イメージの差分を計算することで、埋もれていた情報を可視化できる手法である。これにより、上述した目的な達成しており幅広い応用が可能になった。この報告は学術雑誌のカバーに選ばれた。 また、CMOSデバイスを用いてハイドロゲルの局所電解析出を実現し、これにより酵素電極アレイを作製した(Sensors and Actuators B: Chemical, 277, (2018), 95-101.)。この電極アレイを用いることで、酵素を介して複数の化学物質(グルコースと過酸化水素)の同時の電気化学イメージング(マルチスケール化)を達成しており、今後の細胞解析への応用が期待できる。また副次的な成果として、デザインした3次元ハイドロゲル作製を可能にしており、生体様組織培養への展開が期待できる。 これ以外にも、プローブ電極を用いた電気化学イメージングによる材料表面特性評価を報告しており(Surface and Interface Analysis, 51, (2019), 27-30)、開発したシステムのエネルギー材料開発への貢献が期待できる。
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