研究分担者 |
伊野 浩介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00509739)
井上 久美 東北大学, 環境科学研究科, 特任准教授 (20597249)
熊谷 明哉 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (50568433)
梨本 裕司 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80757617)
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研究実績の概要 |
前年度までに、複数の対象物を同時に計測できる「電気化学カラーイメージング法」を開発した。この手法では多数の電極が配置されたチップデバイスを用いており、個別の電圧制御とデータ解析により達成されている。これにより、本課題で挙げたマルチスケール化を実現する電気化学バイオイメージングシステムが達成されている。本年度は、開発した測定法を用いてハイドロゲル内の胚性幹細胞の呼吸活性と分化活性の同時の電気化学イメージングを達成した(Analytical Sciences, 35(1), (2019), 39-43)。また、電極修飾に基づくマルチスケール化も達成した。具体的には酸化還元ポリマーを特定の電極に修飾することで、ドーパミンとグルタミン酸の同時の電気化学イメージングを達成した(Electroanalysis, 30, (2018), 2841-2846)。本成果は学術雑誌のカバーに選ばれた。 また、プローブデバイスと電極アレイデバイスを組み合わせた測定により、細胞塊(スフェロイド)の呼吸活性(チップデバイス)と形状評価(プローブ電極)を達成した(未報告)。特に3次元的な細胞塊の表面の形状評価はほとんど報告例がないため、該当分野の金字塔である。 これらの研究から派生した研究として、電極アレイデバイスを用いた3次元的なハイドロゲル作製を実現した(Biofabrication, 2019, 10.1088/1758-5090/ab166e)。本研究課題はバイオ計測を目指していたが、バイオファブリケーションへの応用展開が可能であり、3次元培養組織構築といった組織工学や再生医療の分野への貢献が期待できる。 このように、本研究ではマルチスケール化を実現するハイブリッド電気化学バイオイメージングシステムの開発に成功した。さらに発展させ、イメージングデバイスとしてだけでなくバイオファブリケーションへの展開も示しており、今後の展開に期待ができる。
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