今後の研究の推進方策 |
精密制御された無機ナノ粒子および高分子マイクロ粒子の配置構造と物性や機能との関係を検討する。 力学物性は動的粘弾性測定,引張試験および電導度測定を行う。動的粘弾性測定では、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、損失正接(tanδ)の温度および周波数への依存性を測定し、横シフトファクター(aT)と縦シフトファクター(bT)を求める。フィラー充填高分子では、aTはフィラーの充填量に依存しないが、bTは温度に対して正の傾き(フィラーが少量)から負の傾き(フィラーが多量)まで変化することが報告されている(Y. Isono, et.al., Nihon Rheology Gakkaishi, 41, 137 (2013).)。正の傾きはエントロピー弾性、負の傾きはエネルギー弾性に帰属されているため、有機無機ナノマトリックス構造はエントロピー弾性(高分子マイクロ粒子)とエネルギー弾性(無機ナノ粒子が多量)を両立できると考えられる。予備試験では、高分子マイクロ粒子と無機ナノ粒子が化学的に結合しているときエントロピー弾性とエネルギー弾性が同時発現することが実証されている(S. Kawahara, et.al., Polymer, 55, 5024 (2014).)。そこで、引張試験と電導度測定の結果と合せて解析することにより、エントロピー弾性とエネルギー弾性が同時に発現する原因を解明したいと考えている。
|