研究実績の概要 |
ドライフォーミング反応で、ナノポーラスNi(NiMn系)は650℃のドライフォーミング反応で粗大化が起こり失活してしまうが、Coを添加したところ耐熱性が改善されたが原因が分からなかった。そこで本研究では、ガス環境セルを備えた特殊な超高圧電子顕微鏡を用いることで、粗大化(劣化)過程をその場観察し、その反応時におけるナノ構造のダイナミックスについて調査した。観察後、他の分析電顕にて元素マッピングを行った所、Ni,Co,Mn部が分離していることが分かった。特にNi, Coが分かれているのはその場TEM観察したもののみで、通常の触媒試験後では見られていなかった。通常の触媒試験では、システムの安全冷却のため400℃まで制御冷却する際に20分程度の時間がかかり、その間に分離が解消されためだと考えられる。いずれにせよ、活性部のNiと不活性部のCo部が反応ガスによって分割されたことによって、Coが構造の支柱となることで粗大化を免れている可能性が示唆された。その知見を活用し、NiAl系(Al:犠牲元素)を試した際に、NiMn, NiCoMn系に比べて非常に大きな触媒活性が得られ、活性が2倍に上がり、活性開始温度も300度まで低下し、耐熱性も大きく向上することがわかった。電子顕微鏡で解析したところ、反応前はNi/AlOxの複合微細構造となっていたが、反応後ではポア部分に不活性部分であるAl酸化物が埋まっている構造になっていたために、Ni部分の粗大化が抑制されて微細構造が約20nm程度に保たれ、その結果として大きな活性が得られた。これはNiAl系でAlを完全に溶出させない条件で作製していたことが重要でると考えられる。また、ガス質量分析器(GC-Mass)を導入し、未知のガス成分の同定に対応できるようにした。
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