研究実績の概要 |
触媒の耐熱性の向上を行うために、40種類以上の材料探索を行った。ドライフォーミング反応で種々のナノポーラス触媒を評価する際に、NiMn, NiCoMn系(Mn:犠牲元素)では、孔の粗大化が起こり、高温で十分な活性が得られなかった。しかし、NiAl系(Al:犠牲元素)を試した際に、NiMn, NiCoMn系に比べて非常に大きな触媒活性が得られ、活性が2倍に上がり、活性開始温度も300度まで低下し、耐熱性も大きく向上した。電子顕微鏡で解析したところ、反応前はNi/AlOxの複合微細構造となっていたが、反応後ではポア部分にAl酸化物が埋まっている構造になっていたために、Ni部分の粗大化が抑制されて微細構造が約20nm程度に保たれ、その結果として大きな活性が得られた。これはNiAl系でAlを完全に溶出させない条件で作製していたからであった。他の合金元素を添加することでさらなる高活性触媒を見いだすことができる目処を付けることができた。 ガス雰囲気(CH4+CO2)でのその場TEM観察を名古屋大学の超高圧電顕センターで行い、Ni系触媒のコーキングによる劣化挙動をリアルタイムで観察することに成功した。これをもとに耐コーキング触媒設計への指針を得ることができた。 ドライフォーミング反応で通常の水素+一酸化炭素の反応パスとは別に、エチレンなどのオレフィン、メタノールなどのアルコールへの反応パスを示す新奇酸化物についてCaO系酸化物が良いことを見いだした。今後他の元素との複合化をおこなうことでC2、C3の生成能を向上させていく。
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