研究課題
NiAl系(Al:犠牲元素)を試した際に、NiMn系に比べて非常に大きな触媒活性が得られ、活性が2倍に上がり、活性開始温度も300度まで低下し、耐熱性も大きく向上することを見いだした。電子顕微鏡で解析したところ、反応前はNi/AlOxの複合微細構造となっていたが、反応後ではポア部分にAl酸化物が埋まっている構造になっていたために、Ni部分の粗大化が抑制されて微細構造が約20nm程度に保たれ、その結果として大きな活性が得られた。これはNiAl系でAlを完全に溶出させない条件で作製していたからであった。この結果を基に、Ni12.5Y12.5Al75からAlを脱合金化した試料を作製し、前述のNiAl系よりも活性が向上した。Y水酸化物(YOH)3が絡まってウニ状のものにナノポーラスNiが担持されている形状を示していた。高分解能像から孔径は10-20nmであり、EDSマッピングよりNiと残留Alとが均一に分布している事が分かった。通常のNi担持触媒(Ni/Al2O3)と450℃での触媒活性を比較した。Ni/Al2O3の方は初期においてより高い活性を示したが、コーキングの影響で反応管内圧力が増加して破裂防止のため試験を中止しないといけなかった。一方、ナノポーラスNi/Y2O3については、長時間にわたりコーキングすることなく、活性を維持していた。ドライフォーミング反応で通常の水素+一酸化炭素の反応パスとは別に、エチレンなどのオレフィン、メタノールなどのアルコールへの反応パスを示す新奇酸化物についてCaO系酸化物と炭酸ナトリウムの複合化が良いことを見いだした。
2: おおむね順調に進展している
触媒の触媒の耐熱性の向上のために多くの時間を費やし、高性能触媒の開発に成功した。またC2生成能をしめす触媒も発見することができた。
金属系を変えて、さらに耐コーキング特性にすぐれた触媒開発を行っていく。触媒反応前後のナノ構造を原子レベルで同定し、触媒活性評価結果の間でフィードバックを繰り返しながら、合金組成・処理雰囲気温度・雰囲気組成をコントロールすることによって、目的とするC1転換反応に対して最も有利な合金組成をデザインしていく。又、電場などの反応雰囲気場を制御することで触媒特性の変化について検討する。
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ACS Omega
巻: 3 ページ: 16651-16657
10.1021/acsomega.8b02023
https://www.kochi-tech.ac.jp/profile/ja/fujita-takeshi.html
https://publons.com/researcher/2870251/takeshi-fujita/