研究課題/領域番号 |
16H02320
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小俣 透 東京工業大学, 工学院, 教授 (10262312)
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研究分担者 |
門之園 哲哉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10510282)
石田 忠 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80517607)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 知能機械 |
研究実績の概要 |
3次元培養の一種であるスフェロイドは生体内の細胞に近いと言われている.そこで,がん細胞スフェロイドに対して,がん細胞特異的結合ペプチドを探索するデバイスの開発を行った.内部に旋回流を生じる液滴流(スラグ流)を利用して,浮遊状態にあるスフェロイドに対して,ペプチドを効率よく接触させ,つぎに付着しなかったペプチドを洗浄するためのマイクロ流路デバイスを考案した.このマイクロ流路デバイスでは,毛細管現象を利用して,スフェロイドは通さずに不要なペプチドを含む液をだけを排出し,つぎに純粋な培養液を加えて希釈することにより洗浄する.実験によりその動作を確認した.また,スラグの操作方法を検討し,受動バルブを用いたスラグの操作方法を開発した. 多数のスフェロイドにより群構造を構成し,それに対してがん細胞特異的結合ペプチドを探索することも考えた.多数のスフェロイドを凝集させて培養できるデバイスを考案し,実験によりその動作を確認した. 接着系細胞に対しても,がん細胞特異的結合ペプチドを探索することを考えた.従来のペプチド探索では,ペプチドライブラリの大半が細胞上部を細胞に接触せずに通過していた.しかし,天井を下げるという方法では効果的に流路を狭めることができない.そこで,天井下げないで流路を狭める方式を考案した. デバイスの付着・洗浄・回収性能をファージを用いて評価するために,がん細胞に付着するファージが必要であるので,それを作成することにした.そこで,抗体をがん細胞膜に発現させて,抗原ペプチド発現ファージと強力に結合するシステムの構築を検討した.任意のタンパク質をがん細胞膜上にディスプレイする技術を開発し,抗体の標的結合ドメインをがん細胞膜にディスプレイすることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元培養も含めてデバイスの開発は順調に進捗している.ファージを用いた実験に関しては,生物系特有のノウハウがあり準備している.
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今後の研究の推進方策 |
ペプチド探索では,工程を繰り返す必要があるため,今後は繰り返し工程が可能なデバイスを開発する.生物系特有のノウハウについては,生物系の研究者にアドバイスを仰ぎながら研究を進める.
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