研究課題/領域番号 |
16H02324
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
千葉 明 東京工業大学, 工学院, 教授 (30207287)
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研究分担者 |
朝間 淳一 静岡大学, 工学部, 准教授 (70447522)
土方 規実雄 東京都市大学, 工学部, 助教 (70710507)
竹本 真紹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (80313336)
清田 恭平 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 助教 (10796519)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベアリングレスモータ / 磁気浮上 / 磁気軸受 / 磁気支持 / 非接触 / シングルドライブベアリングレスモータ / 1軸能動制御 |
研究実績の概要 |
本年度は3年計画の2年目に当たり、以下の3つの解決すべき問題点に対して、1軸能動制御のベアリングレスモータの基本的な構想の検討を行った。すなわち、1 高速化問題:いかにして危険速度を乗り越えて高速回転を実現するのか。2 高剛性化問題:能動制御しない運動方向の剛性を、いかにして向上するのか。3 大型化問題:いかにすれば大型化してトルクを向上できるのか。 すなわち、3万r/min の高速化(現状1 万r/min がトップ)、100N/mm の高剛性化(世界トップ50N/mm)、750W(現状30W 程度)の高出力化を目標にした。これらの問題を解決する糸口となる可能性がある方式を各大学で検討し、また、組織的に連携することにより、よりよい方法を模索した。 東京工業大学においては、前年度に設計した高剛性を持つ1軸制御形ベアリングレスモータについて,IEEE主催の国際会議IEMDC2017及び日本AEM学会主催の第29回「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウムで成果発表を行った。活発なディスカッションが行われ,本研究の発展に大変有益であった。北海道大学においては、1軸能動制御の磁気軸受システムを提案した。静岡大学においては、1軸能動制御のベアリングレスモータの高速化を見据え,零相電流を用いた新しい回路構成と制御手法を提案した.三相モータ電流の零相電流への干渉を低減する方法を新たに提案した.東京都市大学においては、1軸能動制御ベアリングレスモータの大型化について検討を行った。出力750Wを目標に、大径化によってトルクを向上するとともに、その機械的な構造や組み立て法について検討した。富山大学においては、トルク密度向上を目指して、アキシャルギャップ型のスイッチドリラクタンスモータ型一軸制御ベアリングレスモータを新たに考案し、解析によりモータ部の諸特性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目において、各研究分担者らで、各問題を解決する糸口を模索し、また、2回情報交換を行う場を設け、以下のように進捗し、おおむね、当初の計画通り進捗している。 東京工業大学においては、主に前年度に行った設計についての成果発表を行い,実験の進捗は特になかった。静岡大学においては、1軸能動制御のベアリングレスモータの設計,製作および実験での懸念事項を克服し,モータ設計と試作に関する準備を終えた状況にある. 東京都市大学においては、大きなスラスト排斥力の生じる受動磁気軸受部の組立法・冶具について検討した。また、大径化により出力を向上した1軸能動制御ベアリングレスモータの試作機を設計・製作した。富山大学においては、スイッチドリラクタンスモータ型一軸制御ベアリングレスモータにより、トルク密度が先行研究における一軸制御型ベアリングレスモータより40%向上することを明らかにした。また、瞬間的に半径方向の不安定力が発生するが、構造を工夫することで十分に低減可能であることが明らかになった。北海道大学においては、磁気軸受からベアリングレス化へのシフトが容易でないことが明らかになった。 以上のように概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は基本的な設計の確認を行うとともに、試作機の製作を行い、実証する。また、有機的に連携を行い、3つの問題の一つだけを解決するだけでなく、2つあるいは3つを同時に解決する方法を模索する。すなわち、東京工業大学においては、1軸制御形ベアリングレスモータから1軸未満の高剛性化を行う。ダイナミクスによって浮上する方式と、低速、静止時に浮上できる方式をハイブリッド化した新しい方式を模索する。静岡大学においては,三相埋め込み永久磁石モータとスラスト磁気軸受を統合した新しいベアリングレスモータを設計し,受動磁気軸受を組み合わせることで一軸制御形ベアリングレスモータを試作し,実機実証を行う.東京都市大学においては、製作した試作機の組み立てを行い、実機試験を実施する。まず、静止浮上試験によって安定的に浮上可能かどうかを検証する。その後,磁気支持力やトルクの測定を行い、解析結果との比較・検証を行う。富山大学においては、スイッチドリラクタンスモータ型一軸制御ベアリングレスモータについて、有限要素法解析により設計を完了し、試作機を製作し、実験により提案モータの特性を明らかにする。また、より大型化、高剛性化した際の傾向を解析により明らかにする。
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