現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AlGaNの結晶成長に関しては,従来用いられている(0001)極性面とわれわれが提唱している(1-102)半極性面のいずれにおいても,原子レベルで平坦な薄膜を得ることに成功した.この主たる要因は,成長圧力の調整であり,極性面では76Torr,半極性面では500Torrとすることがポイントであった.この原子レベルで平坦なAlGaNを用いることにより,良好な構造特性を持つ量子井戸構造の作製も可能となり,さらに,半極性面では,圧力上昇の副次的な効果として,点欠陥の形成が抑制されることが分かった. 非輻射過程に関しては,カソードルミネッセンスマッピングとフォトルミネッセンスの温度依存性から,点欠陥が支配的であることがわかった.また,実験結果の解析を通じて,少なくとも2種類の点欠陥が存在し,それぞれ異なる特性(活性化エネルギーなど)を持つことも明らかとなった.これまでは,貫通転位(線欠陥)の抑制が発光効率の改善に向けて重要であると,AlGaN系を含め多くの材料系で考えられていたが,むしろ点欠陥の抑制が優先的な課題であることを示している.今後の素子開発の指針を与えるものである. 本研究で得られた成果に対して,IWUMD2016 (Beijing, China, July, 2016), IWN 2016 (Orlando, USA, Oct. 2016),SPIE Photonics West 2017 (San Francisco, USA, Jan. 2017),日独西Workshop on Frontier Photonic and Electronic Materials and Devices (Mallorca, Spain, March 2017)から招待を受け,講演を行った.
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