研究課題
本研究では,ワイドギャップ半導体AlGaNを用いた深紫外(波長:210~300 nm)領域での超高効率な発光を目指し,非輻射再結合過程の解明・抑制と輻射再結合過程の増強を実現することを目標としている.AlGaN系発光素子では,深い準位の要因となるAl空孔が形成されやすい.それを回避する最も極端な構造として発光層からAlを排した1分子層GaN/AlN量子井戸構造があり,一昨年度までにその作製方法を確立した.一方,微傾斜基板上AlN表面には10 nm程度の分子ステップが現れ,そこに作製したAlGaN量子井戸構造では非輻射再結合が抑制されることも本研究により明らかとなっている.これらを組み合わせて,微傾斜基板上に1分子層GaN/AlN量子井戸を作製したところ,弱励起下で内部量子効率が改善し,同程度の波長で発光する従来のAlGaN量子井戸と比べたとき,非輻射再結合確率が一桁程度抑制できることがわかった.基板の微傾斜について,どのような角度および方位が望ましいのか系統的に調べた.具体的には,1度あるいは3度の傾斜を,AlNのa軸からm軸方位まで10度刻みで形成し,その上にAlGaN量子井戸を作製した.分子ステップの形態と密度により,少なくとも本研究の作製条件では,a軸から10度回転した方位に3度傾斜させることが発光強度の観点から望ましいことがわかった.一方,AlNバルク結晶の新しい結晶成長法として,Alと窒素ガスによる成長を検討している.その波及効果として,有機金属気相成長法によって作製したp型AlGaN上に,Al,窒素,プロパンを供給すると,表面に1 nm程度のAlC系化合物が形成され,それが正孔注入層として機能することをすでに実証している.本年度は,バンドラインナップを光電子分光法で検討し,AlC系化合物自体がp型伝導を担っていることを確認した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Photonics Research
巻: 9 ページ: 299~299
10.1364/PRJ.411701
Applied Physics Express
巻: 14 ページ: 031007~031007
10.35848/1882-0786/abe658
巻: 13 ページ: 061008~061008
10.35848/1882-0786/ab9183
Optics Express
巻: 28 ページ: 22524~22524
10.1364/OE.394580
Applied Physics Letters
巻: 117 ページ: 062101~062101
10.1063/5.0017703
Journal of Physics D: Applied Physics
巻: 53 ページ: 503001~503001
10.1088/1361-6463/aba64c
http://www.optomater.kuee.kyoto-u.ac.jp/research_2.html