研究課題/領域番号 |
16H02344
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山尾 泰 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 教授 (10436735)
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研究分担者 |
小花 貞夫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60395043)
稲葉 敬之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40508826)
藤井 威生 電気通信大学, 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター, 教授 (10327710)
小木津 武樹 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (00621202)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ITS / 車車間通信 / 通信信頼度 / 測位 / レーダー / 走行制御 / 自動走行 |
研究実績の概要 |
(課題1-1)車車間通信環境でのMIMO の導入条件を整理する上で、都市内道路上での電波伝搬を高精度に解析できるシミュレーション環境の導入が必要と考え、従来のレイトレース法に比べてさらに高精度な解析の可能なFDTD法による大型車両による遮蔽の影響を中心に解析した。 (課題1-2)車車・路車間通信向け通信信頼度マップ構築のための環境観測手法の要素技術の確立として、平成28年度は、送信側が固定で取り扱いやすい路車間通信にターゲットを絞り、スペクトルアナライザを利用した観測実験を実施した。観測値を10mのメッシュ毎に平均化結果をデータベースに登録し、マップの精度を検証した。 (課題2-1)周辺車両から受信するOFDM信号からチャネル状態情報を抽出して第一波が直接波であるか否かを機械学習により推定する方式を検討した。また推定された直接波を用いた歩車間測距およびGPS測位を併用することによる測位精度の基本評価を行った。 (課題2-3)多周波ステップCPCレーダを用いたフィールドデータの取得を実施し解析を行った。クラッタについては、道路周囲環境の違いによる空間分布および確率密度分布を解析した。車両については、本方式による反射信号の解析を行った。また、人や小動物のフィールドデータから認識アルゴリズムに有効と思われる各種特徴量を提案した。 (課題3)車車間・路車間通信から得られる様々な情報統合のための走行制御計画理論の確立として、平成28年度は、見通しの悪い交差点を対象に危険度のポテンシャル場グリッドマップ手法を利用したシミュレーションを構築、評価を実施した。また、平成29年度の研究に向けて、汎用性の高いLIDERを用意し、協調制御用データ取得ソフトウェアを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(課題1-1)車車間通信環境でのMIMO の導入条件を整理する上で重要な道路上の高精度電波伝搬のシミュレーション環境を構築し、シミュレーションを実施している。 (課題1-2)予定通りマップ化の観測実験とそのデータベース化を実施しており計画通り進んでいる。 (課題2-1)GSP衛星と周辺車両からの電波の併用により、GPS単独測位に比べて測位精度が向上することを確認し、さらなる測位精度向上の課題を明確にした。 (課題2-3)多周波ステップCPC方式を用い、各種クラッタ環境、車両、歩行人物、小動物のフィールドデータを多数取得し、周囲環境認識の検討が可能になった。ミリ波レーダによる特徴量を提案し評価を行った結果、認識利用への可能性が示せた。また、これらフィールド解析結果からクラッタ、人、車両のシミュレーションモデルを構築した。 (課題3)おおむね予定通りに理論構築とその妥当性の評価、および実評価用のソフトウェア開発を実施し、計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(課題1-1)電波伝搬シミュレーション環境を用いて、車車間通信環境でのMIMO の効果を定量的にシミュレーションで解析し、課題を抽出予定である。 (課題1-2)平成28年度の研究開発は順調に推移したため、平成29年度は車車間通信の性能改善に関する検討を理論面、実証面双方から取り組む予定である。 (課題2-1)H28年度検討した方式の詳細なシミュレーション評価を行ない、測位精度のさらなる向上方法を検討する。 (課題2-2)車両からの直接波を路側機で繰り返し受信・収集し、時間経過に伴い車両・路側機の距離を高精度に推定する方法を検討する。 (課題2-3)多周波ステップCPCミリ波レーダにより取得したフィールドデータを用い、高分解能レーダ特有の特徴量抽出アルゴリズム開発を行う。また、これら特徴量の認識性能における有効性を評価する。 (課題3)平成28年度の研究開発は順調に推移したので、平成29年度は本理論が有効であろう複数のシナリオでの評価を行い、理論の汎用化を進めるとともに、シミュレーションで評価を行った環境を模擬して実評価に取り組む予定である。
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