最終年度は、比較的新しい誤り訂正符号であり5Gの制御チャネルにも採用されたPolar符号、および信号点の格子構造を利用した検出手法であるInteger Forcing技術に焦点を当て、これらの大容量MIMOおよびOFDM通信システムへの適用を試みた。主要な成果は以下の通りである。(1) 低演算Polar符号化Massive MIMO方式の提案:前年度に提案したMatched Filterに基づく簡易な信号検出法とPolar符号、およびアンテナ間の干渉除去を併用したMassive MIMOシステムを実装し、低演算と低遅延性を保証しつつ、より優れた誤り率特性を得ることを可能とした。(2) Polar符号化OFDMにおけるピーク電力低減手法の提案:Polar符号の特殊な構造に着目することで、サイド情報を必要とせずに効果的にOFDM信号のピーク電力を低減する手法を考案した。(3) Polar符号化マルチレベル方式の提案:CRCを連接したPolar符号と逐次除去リスト復号に基づくマルチレベル符号化変調方式を設計し、低演算で優れた特性を達成できることを示した。(4) Integer-Forcing MIMOにおける直交プリコーダの提案:Integer-Forcingを用いたMIMO線形受信システムにおいて、最急降下法に基づいた直交プリコーダを提案し、低演算で優れた誤り率特性を達成できることを示した。これらの成果の多くは、高インパクトファクタのIEEE学術論文誌や最高峰の国際会議であるIEEE GLOBECOM等に採択され、発表している。
|