研究課題/領域番号 |
16H02369
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山中 英生 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (20166755)
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研究分担者 |
尾野 薫 徳島大学, 大学院理工学研究部, 助教 (00782210)
鈴木 美緒 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (20573926)
三谷 哲雄 流通科学大学, 経済学部, 教授 (80289115)
吉田 長裕 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (20326250)
横関 俊也 科学警察研究所, 交通科学部, 研究員 (50645489)
稲垣 具志 日本大学, 理工学部, 助教 (20609945)
宇佐美 誠史 岩手県立大学, 総合政策学部, 講師 (00404830)
金 利昭 茨城大学, 工学部, 教授 (40205050)
小川 圭一 立命館大学, 理工学部, 准教授 (50303508)
松浦 正浩 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (70456101)
山口 行一 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80294718)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自転車 / 左側通行 / 交通安全 / 社会的合意形成 / トランジション・マネジメント |
研究実績の概要 |
交通安全に関するエビデンス分析として.以下の実績をえている.・事故分析において,通行システムと事故との関連分析事例を収集,整理するとともに,当事者の進路方向別事故率を分析できるデータベースを構築して,通行挙動解析ソフトの改良を行って,通行システムの危険性を分析する体制を整えた.また,左側通行を推進している金沢市等での事故分析から整序化効果を把握した.・挙動実態分析においては,ドライブレコーダーによるヒヤリハットデータを購入し,自転車の通行方向と錯綜現象を計測して,双方向通行の影響を分析する体制を整えた.また,WEB調査により,ドライバーとしてのヒヤリハット体験時の自転車の通行方向を把握し,方向の影響を分析した.・仮想実験分析においては 自転車・自動車協調型シミュレータによる実験によって,細街路交差点での直進自動車の出会い頭事故状況,および,信号交差点の自動車右左折時の錯綜を再現し,双方向通行の錯綜発生の高さを実証した.ただし,信号交差点実験では,車道左側通行自転車の危険行為が観測されており.想定の見直しが必要となっている.・歴史分析として,昭和40-60年代の映像,画像資料をもとに自転車の両方向,歩道通行への変遷を分析し,史的実態を明らかにした.また.自転車利用者に加えて,自動車,歩行者の立場から,自転車の通行システム整序化に対する賛否を調査し,システム整序化の可能性を分析している. さらに社会的受容,社会的合意形成の検討においては,・ネットワーク分析では,出発地・目的地間の車道横断回数を考慮して、自転車の通行ルールの違いによる交通事故遭遇確率の比較をおこなった。・熟議手法の整理として 民主的熟議手法として,オランダの自転車交通関係のトランジション事例の視察を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通行システム整序化の交通安全上の効果,一方向通行システムの徹底に対する社会的受容性に関するエビデンス分析については,計画していた課題のうち大半のテーマについて,分析の体制を整えることができ,また,いくつかの分析では,当初想定していた成果が確認されている.また,社会的合意形成の戦略策定のための手法検討については,1年目から先進国オランダでの事例収集を進めたことから,当初の想定よりも進展している.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,下記の自転車通行システムの整序化の利害エビデンスを分析する.・事故分析では,科学警察にて整備した自転車の通行方向と事故率の関連分析可能なデータベースを用いて自転車の通行方向別事故率を分析を行う.各国の交通事故統計データで自転車事故,利用率、法規制等を収集し,日本の自転車事故率を比較する.自転車の左側通行を推進している金沢市,静岡県等での事故分析から整序化効果を把握する. ・挙動実態分析では ドライブレコーダー・ヒヤリハットデータを用いて自転車の錯綜における通行方向の影響を分析する.あらたに,歩道上での自転車と歩行者の錯綜現象を計測し,通行方向・時間帯等の影響を交錯発生から分析する.・仮想実験分析では,自転車・自動車協調型シミュレータに加えて高性能自転車シミュレータ(CS)による仮想実験によって,双方向時,一方向時の錯綜発生率を計測比較する.特に,信号交差点の自動車右左折時の錯綜を双方向時,左側通行時の錯綜発生率を比較する. ・意識分析として,画像・映像資料による通行方向通行変遷の史実分析を継続する.新たに,左側通行の遵守意識,双方向通行の危険性認識,経路選択意識を調査し,現状の自転車通行における走行位置など,自転車利用者の選択意識構造を分析する.また,ネットワーク分析では, 自転車の左側通行規制で生じる自転車の迂回,押し歩き距離の増加,さらに通過交差点での事故遭遇確率を推計し,利害得失をネットワークとして評価する.さらに,合意形成戦略策定にむけて,オランダ等における,エビデンスおよび将来ビジョンを考慮したトランジション・マネジメントの自転車施策等への適用事例を収集し,我が国における適用方針を検討する.
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