研究課題/領域番号 |
16H02381
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
窪田 亜矢 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (30323520)
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研究分担者 |
田島 芳満 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (20420242)
井本 佐保里 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (40514609)
黒瀬 武史 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (50598597)
本田 利器 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60301248)
羽藤 英二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60304648)
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282953)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 災害復興 / 地域性 / 継承 / 被災地域 / 事前復興 |
研究実績の概要 |
本研究では、災害復興について進行中の実践と過去の事例のトレスを通して、地域性の継承を可能とする災害復興プロセスを考察し、未来に活かせる知見として提示することを目的としている。近年災害が多発し、防災や復興が社会的に注目される中、従来の災害復興が被災都市や被災地域の空間、具体的には、インフラストラクチャ、街区、建築などを再編し、防災性を向上させる一方で、地域性や生活弱者の居住環境を断絶する側面をもつ点に着目する。災害前後の空間再編が、そうした点に与えている影響を多次元的に検証し、地域性の継承を可能にする災害復興プロセスを構築し、現在進行中の災害復興に反映させるとともに、今後発生が予測される災害、たとえば南海トラフ地震や首都直下地震の事前復興に実装していくことをめざす。 当該年度である2016年度は、東日本大震災の津波被災地域と原発被災地域の両方において、特定の被災地に深く入り込み、被災者の方や自治体職員らとともに、復興の実践に取り組んだ。地形と被災の関係やマクロな状況の整理も進めた。 また、熊本で進行中の地震災害や30年前の酒田の大火跡地などの現地調査や関係者のインタビューなどをふまえて災害復興の事例のトレスを試みることができた。 こうした中で、地域の形成史に照らし合わせて、被災時に失われるものと、復興時にさらに失われるものや取り戻せないものが異なるという枠組みを整理しつつある。日常と非日常の関係性のデザインが次の課題の一つである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究者の個別研究の進捗も順調である。メンバー内での濃密な議論から、外部より研究者を招いた研究集会、広く外に開いたフォーラムなど多様な場を設定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、災害の種類を広く理解したうえで、災害復興事例から深く理解をすべき事例を適切に抽出し、災害復興プロセスをトレスすることで災害復興パタンと、復興を経た空間再編の体系化を行う。各事例における地域性の継承と断絶、特に環境変化に大きな影響を受ける災害弱者の居住環境の変化に着目して調査を進める。 具体的には、東日本大震災の復興の現場において、実践的に問題を解いていき、そこから事業化することや制度化するための知見を構築する。同時に、そのために必要な法制度のあり方についても、他分野との連携もふまえて検討する。
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