研究課題/領域番号 |
16H02389
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 亮一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60314374)
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研究分担者 |
野村 光 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20506258)
白土 優 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70379121)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 磁気記録 / Cr2O3 / 電気磁気効果 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、薄膜化したCr2O3の電気磁気効果を磁気記録における情報書き込み方式に展開することを最終目標として、特に、強磁性層/Cr2O3積層薄膜において電場+磁場の同時印加による局所磁化反転技術の開発を目指している。平成28年度は、第一段階として電気磁気効果による等温かつ可逆的な磁化反転を実証し、また、磁化反転条件の詳細を明らかにすることを目的として研究を進めた。具体的な検討項目と主要な結果を以下に記す。 (1)超高抵抗な電気磁気効果をしめすCr2O3薄膜の作製条件の最適化:Cr2O3層成膜時のスパッタリング条件の探索により、GOhm*cm以上の低効率を有する超高抵抗なCr2O3薄膜作製条件を明らかにした。また、本素子による電気磁気効果の発現を実証した。 (2)電界印加可能なホール素子・マイクロドットの探索と本素子を用いた電気磁気効果誘起磁化反転の実現:(1)で作製したCr2O3薄膜上に強磁性層を製膜することで従来薄膜と同等以上の高い交換結合が実現できること、本薄膜を電界印加ホール素子・マイクロドットに微細加工した素子を用いて電気磁気効果誘起の磁化反転が可能であることを実証した。 (3)磁区構造観察に基づくCr2O3層の磁化反転検出技術の開発:磁気光学Kerr効果顕微鏡を用いた電気磁気効果誘起磁化反転プロセスの可視化技術の開発を進めた。 (4)局所磁場・電場印加を可能にする微細素子構造の探索:(3)で開発を進めている磁区観察装置内に局所電界を印加可能な試料ホルダの開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Cr2O3薄膜を用いた電気磁気効果の発現、および、Cr2O3薄膜と交換結合した強磁性層の電気磁気効果誘起磁化反転は達成されており、本項目については順調に進展している。一方で、磁区構造観察装置の導入時期の問題により、局所磁場+局所電場印加機構の開発については、やや遅れているが平成29年度に引き続き検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に新規導入した磁区構造観察装置を用いて、局所電場印加可能な試料構造を探索するとともに、本装置を用いた電気磁気効果誘起磁化反転プロセスの可視化を進める。また、平成28年度に実現した電気磁気効果誘起磁化反転機構の詳細を明らかにすることを目的として、磁化反転条件の膜厚・温度依存性等の検討を進める。
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