研究成果の概要 |
レアアースフリー磁性材料の創出を図るために、高い飽和磁化を有するFe16N2のFeを遷移元素Mで置換した(Fe,M)16N2ナノ粒子の合成に挑戦した。理論計算からM元素としてCo、Ni、V、Cr、Mn、Alを選んだ。最初に出発原料となるα-(Fe,M)OOHを中和-湿式酸化法で作製した後、還元してα-(Fe,M)を得て、最後に窒化し(Fe,M)16N2を合成した。M元素によってα-(Fe,M)OOHならびに(Fe,M)16N2の生成率が大きく変化することがわかった。最終的にCoおよびCo-Al複合添加系で2000 Oeの高い保磁力が得られ、ハード磁性材料としての可能性を示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
α-(Fe,M)OOHナノ粒子を出発原料として、続く還元、窒化によって(Fe,M)16N2ナノ粒子を合成するプロセスにおいて、還元条件が異なると(Fe,M)16N2を合成できない場合があり、相は同じでも組織が異なると(Fe,M)16N2が生成しないことが明らかになった。これは固相-気相反応によるNの格子間侵入型化合物の形成メカニズムについて大きな示唆を与えた。最終的にCoおよびCo-Al複合添加系で高い保磁力が得られ、今後急速に普及する電気自動車やロボット等に使用される磁石材料のレアアースフリー化に関して、この物質が大きなポテンシャルを有することを確認出来た社会的意義は大きい。
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