研究課題/領域番号 |
16H02396
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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研究分担者 |
浅香 透 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80525973)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | セラミックス / 構造・機能材料 / 環境材料 |
研究実績の概要 |
セラミックスは結晶粒子の高配向化によってその機能が著しく向上する場合がある。研究代表者は拡散対を空気中で加熱するだけの簡便な方法で、酸化物イオン伝導体の伝導経路が接合界面に垂直に揃った結晶配向セラミックスを作製し、イオン伝導度の飛躍的な向上に成功している。本研究では反応拡散法を多相系へ拡張し、従来の固相反応法では作製が不可能な一次元トンネル構造を有するイオン伝導性の配向多結晶体を作製すると共に、陽イオン交換を行なうことで、リチウムイオンが高速伝導する配向多結晶体の創製を目的とした。さらにイオン伝導性と結晶構造、微細組織の詳細な評価結果を基に、一次元トンネル骨格構造を操作することでイオン伝導度のさらなる向上を目指す。 平成28年度に実施した研究で、(1)ナトリウムイオン伝導性のチタノガリウム酸ナトリウムの配向多結晶体の作製に成功した。反応拡散を利用することで、極めて簡便に配向多結晶体を作製できる一方で、粒子の配向方向に沿った一次元の拡散を生じさせるために、比較的高温下で焼成する必要があり、目的物質の熱的安定性に応じて当該反応拡散を利用できないことが判明した。今回、(2)反応拡散とイオン交換という二つの異なる手法を併用することで、リチウムイオン伝導性の配向多結晶体の作製に初めて成功した。具体的には、b軸配向チタノガリウム酸ナトリウム多結晶体のナトリウムイオンをリチウムイオンに交換して、b軸配向チタノガリウム酸リチウム多結晶体を作製した。当該手法は、化学組成の異なる多様な結晶粒子の配向化への適用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配向多結晶体の作製に関して、反応拡散法とイオン交換法を併用することで、融点や分解温度が比較的低い物質などの多様な化学組成の粒子配向多結晶体の作製方法を確立した。平成28年度の研究計画を十分に達成していることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
反応拡散法とイオン交換法の併用によって、新規化合物から構成される結晶配向セラミックスの作製が可能であることを確認できた。今後は一次元トンネル骨格構造の結晶構造と化学組成を最適化することで、イオン伝導度のさらなる向上を目指す。 異方性物質のイオン伝導度を改善する方法には、結晶配向化に加えてドーピング法が有効な場合がある。拡散対の片方に多相混合物を用いることができれば、多様な化学組成のイオン伝導体を作製することが可能となる。反応拡散法による配向多結晶体の作製において、化学組成の自由度が著しく増大することから、三成分系拡散対を用いた配向化実験を重点的に推進する。
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