研究課題/領域番号 |
16H02396
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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研究分担者 |
浅香 透 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80525973)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | セラミックス / 構造・機能材料 / 環境材料 |
研究実績の概要 |
平成30年度に実施した研究で、「液相-固相反応拡散によるチタノアルミン酸ナトリウムの配向多結晶体の作製とNa+イオン伝導度の向上」に成功した。具体的には、固相のランダム配向Al2TiO5多結晶体と[25 mol% Na2O and 75 mol% TiO2]組成の液相が平板状界面を介して反応することで、Na0.78Ti2.22Al4.78O12組成のチタノアルミン酸ナトリウム(NTAO)の配向多結晶体が生成した。この多結晶体はc軸方向に伸長したNTAOの柱状結晶の集合体から構成されており、元の反応界面に垂直な方向に各結晶粒子のc軸が揃っていた。そのため、ロットゲーリングファクター(f00l)の値は0.75となり、極めて高い配向度を有することが確認できた。 液相-固相反応拡散で生成したNa0.78Ti2.22Al4.78O12結晶の構造を、単結晶X線回折法で決定したところ、NaTi2Al5O12(空間群Pbam)と等価な結晶構造であるが、Na席の占有率は約78%であり、八面体席を占有するAl3+の一部がTi4+で置換されることで電荷中性が保たれることが示された。また、Na席の約22%が欠損することで、Na+のc軸方向に沿ったイオン伝導度の向上が期待された。実際、NTAOのc軸配向多結晶体の伝導度を配向方向に沿って測定したところ、同一化学組成のランダム配向NTAO多結晶体と比較して、約2.5倍のイオン伝導度が得られた。 今回、液相-固相反応拡散法を用いることで、世界で初めて配向多結晶体の作製に成功した。さらに、過去に確立した固相-固相反応拡散法および気相-固相反応拡散法と、当該反応拡散法を相補的に活用することで、極めて容易に多様な高機能性配向セラミックスが作製可能であることを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高機能な配向多結晶体の作製に関して、従来の固相-固相反応拡散法と気相-固相反応拡散法に加えて、新たに液相-固相反応拡散法を確立することができた。平成30年度の研究計画を十分に達成していることから、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
従来の固相-固相反応拡散法と気相-固相反応拡散法に加えて、新たに液相-固相反応拡散法を確立することができた。今後は、これら三つの異なる手法を目的に応じて使い分けて、それぞれの特長を生かした配向多結晶体の作製を行い、結晶構造と化学組成、微細組織を最適化することで、イオン伝導度のさらなる向上を目指したい。
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