研究課題
令和元年度に実施した研究で、「BaOを固溶するケイ酸ランタンオキシアパタイト(LSO)結晶中における、酸化物イオン伝導の異方性を定量的に決定すること」に成功した。具体的には、BaCl2をフラックスとして用いて、(La8.22Ba1.78)(Si5.94□0.06)O26組成のLSO単結晶(空間群P63/m)を育成した。この単結晶の伸長(c軸)方向に垂直に白金電極を取り付けて、823 Kから1073 Kまでの複素インピーダンススペクトルを収集し、等価回路との比較で結晶粒子内の酸化物イオン伝導度(σ)を求めたところ、温度の上昇とともに7.69 × 10-3から 5.30 × 10-2 S cm-1へ一様に増加した。同一組成の無配向多結晶体を作製し、このσ値を求めたところ、1.74 × 10-5 S cm-1(823 K)から2.24 × 10-4 S cm-1(1073 K)へ増加した。すなわち、全ての温度領域でc軸方向のσは230倍以上の値を示し、酸化物イオン伝導の異方性を確認できた。今回、フラックス法で育成した単結晶を用いることで、BaOを固溶するLSOの酸化物イオン伝導の異方性の解明に成功した。LSOのσ値は、固溶酸化物の種類と濃度に応じて決定されることが、無配向多結晶を用いた研究で示されていた。固溶酸化物としてのBaOは、その濃度が一定値以上に増加するとσ値が減少に転じるとされていた。本研究によって、BaO濃度の高いLSOはイオン伝導の異方性が顕著になること、及びそのことで無配向多結晶体のσ値が低下することを実証した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Solid State Ionics
巻: 346 ページ: 115219
https://doi.org/10.1016/j.ssi.2019.115219
http://crystals.web.nitech.ac.jp/index.html