SiをCaと合金化させスラグ精製実験を行った結果、スラグ精製実験の結果、スラグの塩基度や平衡酸素分圧よりもメタル中CaによるPの安定化による影響が大きくリン分配比は増大せず、CaO-SiO2-CaF2系スラグの1673 K及び1773 Kにおけるリン化物としての脱リン能は、CaO-CaF2系スラグと同程度であることがわかった。 さらに、Si-Ca系融体の凝固精製を行った結果の結果、初期Si-Ca合金中のCa濃度が高いほど、固体Si中P濃度が低く、実験により得られた溶融Si-Ca合金と固体Si間の偏析係数は計算により得られた値と概ね一致し、Si-Al系よりも大きい温度依存性が見られ、非常に高いCa及びP除去率を得られることが明らかになった。 一方Si-Cu系溶媒による低温凝固精製については、1473 KにおけるCaO-Na2O-SiO2系フラックスのB除去能を熱力学的な観点から評価するためにボレートキャパシティーの測定を行った。その結果、CaO-SiO2-CaF2系フラックスと比べて大きい値を得られ、高いB吸収能を示す可能性があることが判明した。 さらに同フラックスとSi-Cu合金と平衡させてB分配比の測定を行ったところ、得られた分配比は最大で7.92であり、Si-Sn系ほど効果的ではなかったが、溶媒金属組成をSi-Cu-Sn系に展開し、より効果的な脱Bの可能性を検討いた。高Cu濃度、低Sn濃度の組成において非常に高いγBが得られ、22 mass%Si-67 mass%Cu-11 mass%Sn合金中γBは56.0となり、36 mass%CaO-34 mass%SiO2-30 mass%CaF2系フラックスを用いた場合、分配比120程度の十分高い精製が可能であることが判明した。 以上を踏まえ、太陽電池級シリコンの合金化フラックス処理による革新的精製プロセスの最適化について総括した。
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