研究課題/領域番号 |
16H02421
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松永 是 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (10134834)
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研究分担者 |
新垣 篤史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10367154)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 応用微生物 / ゲノム / 組織・細胞 / 生体機能利用 / バイオテクノロジー |
研究実績の概要 |
磁性細菌は、細胞内に形成した小胞の中で単結晶の酸化鉄から成る磁気微粒子を合成する。これまでの研究において、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1株のクロモソームに数十kbpの大きな外来遺伝子領域を簡便に導入する手法を確立した。昨年度は、同手法を用いて、磁気微粒子合成能を欠損した突然変異株に、磁気微粒子合成関連遺伝子を保存する4つのオペロン(mamAB, mamGFDC, mms6, mamXYオペロン)を再導入することで、それぞれのオペロンの磁気微粒子合成における機能を同定した。本年度は、この知見に基づいたオペロンの改変による新規細菌株の構築に着手した。4つのオペロンを2セット導入した遺伝子組換え株は、合成する磁気微粒子数が多く、野生株に対して約3倍の数の粒子を合成した。mamGFDC及びmms6オペロンの有無は、磁気微粒子のサイズに影響を与えることが示され、既往の知見と一致した。4オペロンを2セット保持する株の鉄イオン取り込み能を評価したところ、鉄取り込み量は野生株と同程度であるが、オペロンの導入によって取り込まれた鉄イオンを酸化鉄に変換する割合が向上していることがわかった。また、磁気微粒子への鉄以外の金属イオンの導入による磁気特性向上を目的として、二価金属イオントランスポーターを発現する株の構築を行った。緑色蛍光タンパク質を融合した二価金属イオントランスポーター発現株の蛍光顕微鏡観察から、このタンパク質の細胞膜上への発現が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、磁気微粒子合成に関わる4つの主要遺伝子オペロン(mamAB, mamGFDC, mms6, mamXYオペロン)の機能を遺伝子導入により同定した。同時に、オペロンの転写調節領域の改変、遺伝子発現量の評価、GFP融合タンパク質を用いた細胞内局在解析、鉄イオン/酸化鉄変換率の評価などの基盤技術の整備を進めてきた。これにより磁気微粒子合成組換え株を作出するための遺伝子設計と合成能の評価が可能となった。また、外来遺伝子発現も検証された。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、これまでの成果を論文発表すると共に、下記の研究項目を重点的に検討する。 -オペロンの遺伝子構成と制御領域を改変した株の磁気微粒子合成能を評価する。 -二価金属イオントランスポーター導入株における金属イオン取り込み能と磁気微粒子の組成解析を行う。 -磁気微粒子合成関連遺伝子を導入した大腸菌株の鉄取り込み能と磁気微粒子合成能を確認する。
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