研究課題
本研究では、世界に先駆けて「微小欠陥-元素分布トモグラフィー(同一試料に最先端の透過電子顕微鏡(TEM)-3次元アトムプローブ(3D-AP)を組み合わせて、照射欠陥構造と不均一な元素分布をサブナノメートルの分解能で3次元空間に同時マッピングする方法)」を開発し、これを用いて原子炉の安全性に直結する構造材料の未だ解明されていない新しい照射劣化機構を解明することが目的である。H30年度は、以下の成果を得た。1.我々が開発した上記手法を様々な中性子照射材料に適用した。その結果、原子炉の安全性にとって最も重要な圧力容器鋼の照射脆化機構として、これまで考えられていた溶質原子クラスターのみではなく、照射欠陥集合体、特に多量に形成される極微小な転位ループの寄与が溶質原子クラスターと同程度の寄与があることが明らかになった。さらに、両者の複合体が相当の高確率で形成されていることも明らかになった。これらは、原子炉の健全性の理解に大きく寄与する知見であるが、微小欠陥-元素分布の相関を調べることができる上記手法によって初めて明らかにできたことであり、本科研費の当初の目標を達成できたといえる。2.非均質な金属組織を呈する原子炉圧力容器鋼の溶接熱影響部を用い、照射による微細組織変化と機械的特性変化の関連から脆化因子を明らかにした。また、分子動力学シミュレーションにより、原子炉圧力容器クラッド材の硬化現象に及ぼすクロム原子配置の影響に関する新たな知見等を得た。3.本研究で開発した分析手法を、原子力材料だけでなく金属・半導体の様々な材料欠陥の分析手法としての応用されつつあり、今後の他分野への波及効果が大いに期待できる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 23件、 招待講演 3件)
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