本研究では「ペロブスカイト層を極力薄くし800nm以上の光の透過率を上げ、局在表面プラズモンの1. 局所電場増強効果、および2. 光散乱 効果をつかった「光閉じ込め」により、800nm以下の吸収を増大させ光キャリアの生成効率を向上させることで、赤外光に対して透過なペロブスカイト太陽電池の開発をおこなうなどして、「30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池」に必要なボトルネック技術の開発を目的としている。 令和二年度は、前年度に引き続きペロブスカイト層の薄膜化かつ高品質化を実現するための結晶粒径など、マクロな結晶構造についての検討をおこない、結晶粒形増大に向けた新たな手法を検討した。ペロブスカイト層に対してゾーンヒーティング法を用いた大粒径化を試み、サンプル全体の温度が上がらないような短時間の熱処理による大粒径化を確認した。また、単結晶S上にペロブスカイト層を形成する際の、単結晶Si-TiO2界面の状態に着目した。Si-TiO2界面に生成するSiOx層の厚さによりSi単結晶のパッシベーション特性が変化することを明らかにし、厚さをゾーンヒーティング熱処理法によって制御できた。さらに、単結晶Si-TiO2界面のパッシベーション処理がタンデム太陽電池に与える影響をデバイスシミュレーターで明らかにするとともに、ナノ構造などにも適用可能で、処理膜厚を電流値、処理時間などで正確に制御可能な電気化学的パッシベーション法を開発し、その有効性を明らかにした。また、「30%超タンデム太陽電池用超薄膜ペロブスカイト太陽電池」実現のために 必要なSi単結晶薄膜太陽電池の低コスト化、高効率化技術について、リフトオフ法で作成する単結晶薄膜のシード層を、これまでのp型だけでなくn型Siで作成し、ゾーンヒーティング法による表面のナノレベルの平滑化を行った。
|