研究課題
A1: MELASモデルマウスの作製:昨年度まで使用してきたES細胞株を新しい株に変えたことにより、MELASの病原性突然変異を持つマウスmtDNAを生殖細胞系列に導入したMELASモデルマウスの樹立に成功し、当初の計画を完了させることができた。今後はこのマウスの病態を解析することでMELASモデルマウスとしての活用が期待できる。A2:「がん転移mtDNA原因説」の普遍性検証:申請者が以前提出した「がん転移mtDNA原因説(Science 2008」がヒトのがん転移にも当てはまるという普遍性の検証に成功し、Sci Rep 7: 15535, 2017に掲載することで当初の計画を完了させた。B1: 老化原因因子の特定:申請者は以前ヒトの老化に伴う呼吸欠損の発現は核ゲノムに存在する二つの遺伝子(SHMT2とGCAT)の可逆的発現抑制であることを報告した(Sci Rep 2015)。今回、Shmt2破壊マウスで胚性致死が誘発され、しかもこの胎児から樹立した繊維芽細胞(MEF)は呼吸欠損と増殖阻害を示すことを明らかにした(Sci Rep 2018)。さらに胚致死の原因を質量分析で調べたところ、胎児肝特異的に1炭素代謝系に異常が生じ、胎児肝内の赤血球分化と分裂に異常をきたした結果、貧血による胚致死になることを明らかにした。つまりヒトの老化には少なくともSHMT2遺伝子の発現低下が関与し、呼吸欠損と分裂阻害を誘発することが老化の原因の一部である解明した(論文準備中)。B2: 拒絶反応因子の特定:mtDNAの遺伝子産物が細胞表面にも存在するという常識はずれの可能性を示唆していたが、その正体はmtDNAの遺伝子産物ではないことが証明された。この研究成果はBBRC 493: 252-257, 2017に掲載されたが、具体的にどのような遺伝因子がこれに関与しているかは依然として謎のままである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Sci. Rep.
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doi:10.1038/s41598-017-18828-3
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