研究課題
平成28年度は腫瘍微小環境におけるPD-L1の発現が抗PD-L1/PD-1抗体治療の効果関連バイオマーカーとして重要か、また重要であればどの細胞群に発現するPD-L1分子が重要か、という点について研究を実施した。これまでの予備検討から、ある特定の腫瘍細胞株を接種したマウスに対して、我々の樹立した抗PD-1抗体が優れた治療効果を示すことが明らかとなった。またこの腫瘍株においてPD-L1の発現を検討したところ、IFN-γの刺激に応答して、高いPD-L1発現が示された。そこで我々は、CRISPR/Cas9システムを用いて当該腫瘍細胞株のPD-L1発現を消失させた細胞株を作成し、それらを接種した場合の腫瘍増殖について解析した。また、当該腫瘍株をPD-L1-KOマウスに接種した場合の腫瘍増殖についても解析した。その結果、腫瘍細胞上のPD-L1が欠失した場合、宿主細胞上のPD-L1が欠失した場合の両方において腫瘍増殖が抑制されることが判明した。従って、腫瘍微小環境においては、腫瘍細胞上のPD-L1とストローマ細胞を含む宿主側の細胞上のPD-L1はどちらも抗腫瘍免疫の抑制に重要であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
4年間の研究計画の1年目であり、研究計画に示された実験はほぼ予定通り実施された。腫瘍微小環境におけるPD-L1発現部位の重要性について新しい知見がえられ、予定通りの進捗であった。
当初の予定通り、抗PD-1抗体治療に反応して抗腫瘍効果を誘導するT細胞フェノタイプについて解析を進めるとともに、学会や学術誌での発表をおこなう。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (47件) (うち国際学会 1件、 招待講演 47件)
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