研究課題
TLR9はエンドソームに局在し,細菌やウイルス由来の一本鎖DNAの非メチル化CpGモチーフを認識することで,炎症性サイトカインやI型インターフェロンの産生を誘導する。CpG DNA単独でのTLR9の二量体化は非常に弱く,実際のTLR9の活性化にはCpG DNAに加えて他の因子が介在している可能性が示唆された。最近の研究で,CpG DNAの5’末端側の配列がTCGあるいはTCCであるものは,そうでないものと比較してTLR9を効率的に活性化することが報告された。異なるリガンドによるTLR9の活性化機構を明らかにするため構造科学的な研究を行った。TLR9との結合実験を行ったところ,CpG DNAはTLR9に強く結合するが二量体化は引きおこさないこと,5’-TCG DNAは単独ではTLR9に対してまったく結合を示さないことが明らかになった。一方,5’-TCG DNAはCpG DNA共存下のTLR9に対しては非常に強く結合し,TLR9の二量体化を誘導した。2種類のDNAの結合様式を明らかにすべく,TLR9とCpG DNAおよび5’-xCx DNAからなる三者複合体の結晶構造解析を行い,ウマおよびウシ由来のTLR9について構造決定に成功した。TLR9とCpG DNAと5’-xCx DNAは2:2:2の複合体を形成しており,5’-xCx DNAはTLR9のリング型構造の上部で2分子のTLR9にはさまれた新規の結合部位に結合していた。5’-xCx DNAの5’末端側の3塩基は,2分子のTLR9にはさまれる形でTLR9と相互作用し,TLR9の二量体化に寄与していた。2番目のシトシンはTLR9二量体の2つのプロトマーから複数の相互作用により緊密に認識されていた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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