研究課題
Jmjd6は、鉄と2-オキソグルタル酸、および溶存酸素を共役因子として、リジン残基の水酸化を触媒する酵素である。研究代表者は最近、Jmjd6を欠損した胸腺では、Aire (autoimmune regulator) 遺伝子のイントロン2のスプライシングが障害され、N末端103アミノ酸残基だけからなる不完全なAireタンパク質(immature Aire)が増加する結果、免疫寛容誘導が正常に作動しないことを見いだした。本研究では、Aire遺伝子の選択的スプライシングを制御する分子基盤を解明すると共に、その新しい機能を同定することを目的に研究を行い、本年度は以下の結果を得た。1) Jmjd6の会合分子として、スプライシング因子であるU2AF65とSrsf3を同定し、その機能をAireを内在性に発現するES細胞を用いて検証した。その結果、U2AF65をノックダウンすると、Jmjd6ノックアウトの場合と同様に、Aireのスプライシング異常が生じるのに対して、Srsf3のノックダウンではそのような異常は認められなかった。2) B細胞特異的にJmjd6を欠損したマウスを樹立し、骨髄における成熟B細胞の割合が低下すること、抗原特異的なIgG1抗体の産生が障害されることを見出した。3) Aire intron 2の3’スプライスサイトのGAG配列をTTTに置換したノックインマウスを作製した。このマウスにおいて、Aireタンパク質の発現が亢進することを期待したが、そのような変化は検討した限り認められなかった。4)ヒト大腸がん細胞株DLD-1を対象に、CRISPR/Cas9システムを用いて、Jmjd6をノックアウトした細胞株を樹立した。野生型のDLD-1では、ダブルチミジンリリース後5時間でS期への移行が認められるが、Jmjd6欠損株では、この移行が障害されていた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
Cell Reports
巻: 25 ページ: 1800-1815
10.1016/j.celrep.2018.10.057
Science Signaling
巻: 11 ページ: 1-11
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