研究課題
孵化後20日の幼魚の生殖腺から蛍光を発する細胞をセルソーターで単離することが可能となった。この単離細胞の純度はきわめてよかった。一方で、孵化後10日の生殖腺から蛍光を発する細胞を単離しその純度を検定したところ、90%以上の純度で細胞を単離可能となった。細胞解離の条件等はほぼ確立されたと判定される。しかしこの時期の生殖腺はきわめて小さく生殖腺以外の細胞の混入が認められた。この混入を防ぐために次の方法を用いたトランスクリプトームの解析に着手した。1:生殖腺のみに蛍光を発するトランスジェニックメダカの作製、2:一細胞(シングルセル)のトランスクリプトームの解析。これらを孵化後20日の幼魚にも適応して研究を行うこととした。
2: おおむね順調に進展している
昨年度単離した蛍光を発する細胞の純度を検定したところ、生殖腺以外の細胞の混入が認められた。これは生殖腺を単離してから細胞をセルソーターで分取したものの、単離の際に体腔上皮や脊索などの生殖腺以外の細胞にも蛍光を発する細胞が存在するため、それらが混入したものと考えられた。そこで、1:生殖腺のみに蛍光を発するトランスジェニックメダカの作製、2:一細胞(シングルセル)のトランスクリプトームの解析、に切り替えて研究を行うこととした。1の方法は、セルソーターにおける細胞混入を防ぐため、2の方法は、多少の細胞の混入があっても、一細胞のトランスクリプトームを複数回行ってその発現を解析することにより、混入細胞をデータセットから除くことができるからである。現在トランスジェニックの作製を行っており、一細胞単離のプロトコールを確立しつつある。方法の変更が行われたがそれは研究過程を生じる通常のことであり、今回は方策や解決法もはっきりしているため全体としては順調に推移していると判断する。
進展状況でも述べたように、生殖腺のみで蛍光を発するトランスジェニックメダカを作製する。このために2つの方法をとる。あらかじめ生殖腺のみで発現が確認された遺伝子のメダカBACを入手し、BAC上のこの遺伝子に蛍光タンパク質遺伝子を導入したのちメダカ卵にマイクロインジェクションする。またCRISPER/CAS9法をもちいて蛍光タンパク遺伝子をメダカゲノム上の目的の遺伝子に組み込むことを試みる。一方で一細胞単離によるトランスクリプトーム解析を進める。現在もちいているトランスジェニックメダカの生殖腺を解離してセルソーターにかけ、384穴プレートに分取されるかを確認。さらにそこからcDNAを作製して、生殖腺特異的発現遺伝子が検出されるかをPCRで検定する。分取できるかどうかの確認のために384穴プレートを模したスライドグラスに細胞を分取し、蛍光顕微鏡で細胞の蛍光を確認する。生殖腺特有の特徴を示すライブラリー作製が確認されれば、それを数十個作製してディープシークエンスへと持って行き、主成分解析を行う。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
PLoS Genetics
巻: 14 ページ: e1007259
doi.org/10.1371/journal.pgen.1007259
Nature Comm.
巻: 8 ページ: 412
doi:10.1038/s41467-017-00432-8
http://www.medaka.bio.nagoya-u.ac.jp/