研究課題
昨年度までに、長さ数ミリの幼魚から生殖腺を単離する方法と、分解酵素の種類と作用時間を変えるなどの条件検討を行い、単離生殖腺からの細胞の解離を行った。そしてセルソーターの分離条件とプレート上への分取方法を検討し、最終的に384プレート上に細胞をひとつずつ、もしくは数個ずつ、生殖腺から解離した細胞を分取できることを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて確認した。さらにそこからseq2 法の条件を検討しつつ、一細胞トランスクリプトームのためのライブラリー作製した。ライブラリーはバイオアナライザー等を用いて評価を行い、ライブラリー作製に十分の質を保つと判定されたライブラリーについて予備的に次世代シークエンサーにより解析した。その結果、かなりの確率で目的とする細胞で発現しているマーカーが確認できた。またゲノムマッピングも行い、今回新規に構築したアノーテーションファイルを用いて、アノテーションされたゲノム領域へIVG を通じてマッピングも確認された。このライブラリーを変異体と野生型メダカ幼魚生殖腺、第二次性徴直前の野生型メダカ生殖腺(体長サイズにより分類)から作製してトランスクリプトームデータを得、現在その評価をゲノムマッピングなどにより行っている。その結果、IVG と qPCR も併用して、DEGとなりうる候補遺伝子を得つつある。さらには、現在、第二次性徴直前の野生型メダカ生殖腺のマーカーとなりうる遺伝子を既存の論文や生殖腺、幹細胞の発生シグナルを参考にして、 in situ hybridization により確認する実験を開始している。
2: おおむね順調に進展している
ライブラリーの評価とマーカーとなる遺伝子のスクリーニングも着実に進みつつある。いよいよDEGに向けて候補遺伝子のスクリーニングに入れることから、進捗状況は概ね良好と判断している。
現在進行中のqPCR によるDEGの評価を行う。そのためのポジティブコントロールを、哺乳類での幹細胞ニッチで発現する遺伝子や成体で生殖周期を制御する遺伝子に着目して単離を行う。ここでスクリーニングされた遺伝子はさらに in situ hybridization によるスクリーニングに供する。GO term などのアノーテーション情報も考慮し候補遺伝子を絞り込む。候補遺伝子のガイドRNAを作製し、ゲノム編集技術による変異体作製を行う。変異体の表現型解析は共焦点レーザー顕微鏡を用いた固定組織と単離生殖腺を用いたライブイメージングにより行う。このDEGから得られた候補遺伝子が第二次性徴を抑制している因子であれば、その変異体メダカのオスにおける表現型は、早期の精子形成が見られることが期待される。候補遺伝子変異が致死性の場合は、当研究室ですでに確立されているキメラメダカや皮下移植の技術により、致死性を回避して、その遺伝子の生殖腺における機能を解析することになる。
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