研究課題
稚魚の生殖腺からセルソーターで支持細胞と生殖細胞とを単離し、ライブラリーを作製して次世代シークエンサーによる遺伝子発現網羅的把握を行った。NBRP, Ensembl, NCBI などの公共データベースに個別に登録されているメダカ発現遺伝子をゲノム上に研究室内で一つに統合、さらに網羅的発現解析で得られたリードと対応させ、固有のコードを付与した独自の解析基盤を開発した。これと網羅的発現情報を組み合わせることで、雌雄や変異体で発現の異なる遺伝子(DEG)を詳細に見いだすことが可能となった。そのDEGからは因子候補が得られたことからスクリーニングを行い、変異体を作製し表現型解析を行った。計画書作成時の予想どおり、体細胞由来のシグナルに依存せずに配偶子形成を進行させる転写因子とシグナル因子が同定でき、論文として発表した(PNAS in press)。同時に体細胞側からの複数のシグナルも明らかになってきた。そのシグナルは生殖細胞の細胞内極性を制御する可能性も示唆されたため、電子顕微鏡による組織解析をおこなったところ、いくつかの細胞内構造物の分布が配偶子形成開始に連れて変化することが判明した。生殖細胞の配偶子形成開始と体細胞シグナル制御による細胞内極性との関係が明らかになろうとしている。生殖細胞における具体的な因子と解析が進行するにつれて、生殖幹細胞から配偶子形成が開始する機構が、従来の幹細胞の研究とは違った角度で明らかになりつつある。そこには始原生殖細胞が生殖(幹)細胞に分化した時点で生殖(幹)細胞が有するようになった基盤が重要であり、それを体細胞側が抑制するという具体的経路が見え始めた。一方でその基盤はもともと配偶子形成でも卵分化の方向に開始させるものでそれゆえ、卵巣では配偶子形成が精巣より先にコミットすると理解できる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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http://www.medaka.bio.nagoya-u.ac.jp
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