研究課題
1.Opn5L1は哺乳類以外の脊椎動物が広く持つオプシンである。Opn5L1の生理機能を探索するために、これまでの小型魚類(メダカ)だけでなく鳥類(ニワトリ)を用いて解析を行った。その結果、ニワトリの脳内のいくつかの領域にOpn5L1陽性細胞を見いだすことができた。そして、その中でも視床下部におけるOpn5L1陽性細胞は、生殖機能と関わると報告のあるいくつかの遺伝子の発現と関連があることがわかった。この結果は、ニワトリにおいてOpn5L1は生殖活動を制御する可能性を示唆している。2.Opn5L1は光よって不活性化されるためreverse photoreceptorとして機能する。この特異な分子機能を支える分子内メカニズムを解明するため、サンプルを培養細胞で大量に作製し共鳴ラマン散乱法で解析した。その結果、最も重要な分子内アダクトを形成した中間状態におけるレチナール構造の詳細を明らかにすることに成功した。3.Opn5L1は光によって不活性化された後自然に元の状態に戻るため、光サイクルにより活性が制御される。多様な動物のOpn5L1の比較解析を行ったところ、不活性化される過程及びそこから元の状態に回復する過程、それぞれにおいて時定数が大きく異なるものを見いだすことに成功した。4.脊椎動物のオプシンでは、Opn5グループと並んで視物質を含むグループが大きく多様化していることがわかっている。そこで、視物質を含むオプシングループの多様化過程について並行して解析を行った。その結果、従来脳内でのみ機能すると考えられていた視物質に近縁なオプシン(ピノプシン)がいくつかの動物では視物質として機能しうることを見いだした。その結果から、脊椎動物の視物質の多様化と視覚機能の進化的獲得の従来モデルを修正することに成功した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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