研究課題
緑藻ボルボックス系列(volvocine algae)の全ゲノム解析から以下の成果が得られた。1. モデル種Volvox carteri とは系統的に離れたヘテロタリック種 V. reticuliderus の雌雄の性染色体領域が明らかになった。V. reticuliferus でも V. carteri (Ferris et al. 2010, Science)と同様に約 1 Mbp の巨大な性染色体領域が存在し、ボルボックスからなる大きな単系統群(Merrillosphaera 節)の共通祖先の約7500万年前に巨大な性染色体が成立し、ボルボック特有の無性群体とは発生様式の異なる有性群体の形成に巨大性染色体領域の遺伝子群が関与している可能性が示唆された(論文投稿中)。2. 多細胞化の進化学的研究のモデル生物群であるボルボックス系列のうち、平板状群体から非生殖細胞をもつ球状群体への進化は、ボルボックス科(Volvocaceae)と、ゴニウム科のアストレフォメネ属(Astrephomene)の、2つの系統で独立に起こったとされている(Yamashita et al. 2016, BMC Evol. Biol.)。しかし、全ゲノム情報が公開されており、分子細胞学的研究が実施されているVolvox carteri を含むボルボックス科とは対照的に、これまでアストレフォメネのゲノム情報はなく、非生殖細胞分化の分子メカニズムも全くの未知であった。従って、新たにアストレフォメネメの全ゲノム情報を構築し、非生殖細胞分化の並行進化の分子基盤を探索した。その結果、V.carteriと同様に非生殖細胞では細胞生育のための光合成遺伝子群の発現抑制が明らかになった。一方、V. carteri の非生殖細胞制御の鍵遺伝子regAはアストレフォメネには存在せず、非生殖細胞では発現が高くなる3種の転写型遺伝子が非生殖細胞制御の鍵遺伝子の候補として明らかになった(論文作成中)。
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https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6403/