研究課題
陸上生態系に関しては、有機物のδ18Oを用いた研究を取りまとめた。本研究においては、種子に含まれる有機物のδ18Oを植物の生育標高の指標として利用し、動物による種子散布の効果について検討した。その結果、春~夏結実の種子に関しては動物の種子散布は温暖化適応に関して正の影響を与えるのに対し、夏~秋結実の種子に関しては逆の効果を持つことがわかった。陸水生態系に関しては、リン酸のδ18Oに関する集水域レベルの同位体地図(Isoscape)作成し、河川におけるリン酸態リンの起源における考察を行った。また、集水域の母岩(石灰岩)影響によるMg同位体比の違いを利用して、河川生態系研究における新しい同位体比の活用法について検討した。海洋生態系に関しては、脊椎骨椎体のコラーゲン成分に残された同位体比履歴を分析する方法を用いて、サケの北太平洋における移動履歴を推定した。本研究を進める上で、北太平洋域におけるδ15Nの同位体地図をバルク分析法とアミノ酸窒素同位体手法を用いて作成した。本データは、今後の同位体地図研究でも用いることができる。また、亜硝酸イオンの滞留時間推定のために必須である亜硝酸イオンと水の酸素原子交換およびその際の同位体平衡分別係数について長期培養実験を行った。これまで1件だけ報告例があるこれらの測定値に近い値を得ることができ、現在その測定方を含めた論文を投稿準備中である。カンボジアのトンレサップ湖の湖水と流入河川の多元素組成を統計解析した結果、雨季は湖水全体がメコン川によって置換されていることを実証した。都市型豪雨が生ずるプロセスを主要元素組成から明らかにした。日本を事例に、地下水、岩石、野菜のストロンチウムIsoscapeの関係と問題点をまとめた。そのほか、多元素の安定同位体比を用いて、生態系に含まれる物質レベルの代謝・移動に関する研究を取りまとめ、共著論文として発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 17件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 9件)
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