研究課題/領域番号 |
16H02544
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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研究分担者 |
池 和憲 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50159597)
加藤 竜也 静岡大学, 農学部, 准教授 (00397366)
宮崎 剛亜 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 助教 (30775721)
Deo VipinKumar 静岡大学, グローバル企画推進室, 助教 (80569806)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / ウイルス様粒子 / カイコ / ワクチン / 原虫 / Neospora caninum |
研究実績の概要 |
ネオスポラ症は、Neospora caninumによるウシに対する感染症であり、畜産業に大きな損害を与えている。現在ネオスポラ症に対する有効なワクチンなく、早急な予防策が必要である。本年度は、ネオスポラ症に対するワクチン候補として、N. caninumの抗原タンパク質であるSurface antigen 1 (NcSAG1)、SAG1-related sequence 2 (NcSRS2)、Microneme protein 3 (NcMIC3)、Dense granule antigen 2 (NcGRA2)をラウス肉腫ウイルス(RSV)様粒子(RS-VLP)に提示させた抗原提示RS-VLPの作製を目指した。 【実験方法】ネオスポラ抗原タンパク質であるNcSAG1、NcSRS2、NcMIC3、NcGRA2遺伝子にBombyx mori nucleopolyhedrovirus(BmNPV)の表面糖タンパク質GP64の膜貫通領域をコードする遺伝子を融合させた融合遺伝子と、RSVのgroup antigen protein (gag)遺伝子を持つ組換えBmNPV bacmidを作製した。得られたそれぞれの組換えBmNPVをカイコに共感染させ、4日後回収したカイコ体液から、発現させた抗原提示RS-VLPを密度勾配遠心分離によって精製した。ウエスタンブロッティングやELISA、免疫電顕法により抗原提示確認を行った。 【結果】4種の抗原タンパク質のうちSAG1とSRS2をRS-VLPに提示させることができた。SAG1とSRS2の分子量は、それぞれ43 kDaと52 kDaであり、NcSRS2に比べNcSAG1が多くRS-VLPへの提示された。提示させる抗原としてNcSAG1が効果的であった。今後、抗原提示VLPの形状確認及びマウスで感染阻害試験を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度計画した研究は、多価VLPの作製、精製及び評価であった。 成果として多価VLPの作製、精製は終了したが、評価ができていない。特に評価のなかにマウスを用いた動物実験が必要であるが、抗原提示ウイルスの実験が残っている関係で、抗原提示ウイルスの動物実験を優先し、今年度分は次年度に持ち越された。 本年度は、研究計画について共同研究者と打合せを行い、10月から動物実験を開始することになった。また動物もマウスではなく、ネオスポラに感受性の高い動物を選定する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の計画は、下記のとおりである。 1.高免疫応答型多価VLPの作製:前年度精製した多価VLPに、免疫細胞に特異的に結合する分子を提示する。免疫細胞CCR1、CCR3、CCR5及びDNGR-1を予定したが、ホスト細胞に侵入しやすいProfilin (PROF)を提示することにした。PROFを提示したVLP/PROFを作製し、免疫誘導効果を検証する。また前年度作製した多価VLPにPROFを提示した高免疫応答型多価VLP/PROFを作製する。 2.免疫応答型多価VLP/PROFの精製:前年度確立した精製法に従い、高効率かつ高純度の高免疫応答型多価VLP/PROFを精製する。 3.高免疫応答型多価VLPのワクチンとしての評価:前年度同様に、形状解析や粒子径測定等ナノ材料としての評価を行う。また、免疫原性を含む生物学的評価以外に、インビトロで免疫細胞への結合能を確認する。高免疫応答型多価VLPの抗体産生能、免疫グロブリン及びサイトカインの生成が関与する変化を詳細に同定し、ワクチン性能を評価する。
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