研究課題/領域番号 |
16H02555
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
梶 光一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70436674)
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研究分担者 |
吉田 剛司 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (00458134)
五味 高志 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30378921)
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40514865)
石川 芳治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (70285245)
赤坂 宗光 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70446384)
宇野 裕之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 研究主幹 (80442614)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ニホンジカ / レジリエンス / 過採食 / シカ柵 / 個体数管理 |
研究実績の概要 |
シカ密度、体サイズと体重、植生と食性:知床半島ではシカの密度に対する反応の順番が、幼獣>成獣♂>成獣♀、体重>下顎となることが示唆された。洞爺湖中島でも継続的な間引きによって若齢個体の体重の増加が認められた。ドライブカウントによる推定値は個体数のトレンドはとらえているが、マークリサイト法と比較するとやや過大推定となることが明らかとなった。 シカ柵の機能、食性、シードバンク:洞爺湖中島の植物相について、シカの密度の低下に反応しやすい植物の持つ形質を特定した。シードバンクについては、場所の光条件によりシカ防護柵を設置することの効果に差異が見られることを明らかにした。阿寒地域の天然林内7ヶ所に1995年に設置したシカ排除柵(10×20m)内外において、木本の標識付・計測を行った.同時にシカ糞粒密度,草本類の植被率,土壌硬度,相対光量子密度に関する調査を実施した. 複数の昆虫群の反応比較と生態系機能:シカ生息密度の異なる地点において、複数群集の昆虫類を採取し、その形態の変化を検討した。その結果、チョウ目の何種かではシカ生息密度の違いに伴い形態の変化が認められた。また、昆虫類の生態系機能のシカ生息密度との関係について評価を行った。その結果、昆虫類が持つ有機物分解機能では、シカ生息密度の違いに伴い機能の変化が認められたが、その冗長性は高い可能性が示唆された。 土壌流出・流域からの濁水:丹沢堂平地区ではシカ密度の低下(30頭/km2→5頭/km2)に伴い、林床植生被覆率の増加と土壌侵食量の減少が観察された。また、浮遊土砂量も減少している傾向がある程度認められた。 土壌生態系への影響:洞爺湖中島におけるレーザー計測を実施し、オルソ画像と地形計測結果が得られた。これらの結果とともに、植生被覆状態についての既往の植生や土壌の調査結果を踏まえて、植生被覆の空間分布特性の評価などの準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に新たにDNA解析に糞の分析を加えるのと、分析機器の予約状況を考慮して完了時期を延長して予算を繰り越したが、順調に分析を終了することができた。 シカの体サイズと体重のデータは、4地域(知床・阿寒・洞爺湖中島・丹沢)で収集予定であったが、阿寒のシカの計測データが入手する体制を構築できなかった。しかし、残りの3地域では入手できたので研究を進めるうえで支障はない。 そのほか、植生調査、昆虫調査、土壌調査は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2年度目は、引き続きデータを収集するとともに、まとまったものから論文を執筆していく。
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