研究実績の概要 |
昨年度までで、テラヘルツ時間領域分光システム(透過)を設計・試作し、このシステムによって含水率の異なるいくつかの樹種および合板に用いられることの多いベイマツ材のテラヘルツ時間領域スペクトルを測定した。さらに複数の接着剤を用いて接着した合板の測定が完了した。 今年度はこれらの結果から、合板の層数・接着剤の種類および密度を同時に推定する手法を開発した。これは合板の周波数0.1THzにおける吸収係数と屈折率の散布図をSupport vector machineを用いて分類することによって達成することが出来た。また合板の0.1THzによる屈折率は密度と高い相関関係にあった。また、本手法により(木材の強度特性に大きく寄与する)セルロースミクロフィブリル角(MFA)も推定可能であることを示した。具体的にはX線回折法によって得られたMFAと試料の複屈折性に相関があることを見出した。加えて、木材中の水分子の誘電率の推定を試みた。これにより木材中水分子の誘電率虚数部は含水率にともなって線形に変化することを見出した。これらの成果をJournal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Wavesに投稿し受理された。 また、H30年度計画であった反射方式による信号検出方式の導入が完了した。現在このシステムによって測定したスペクトル情報から(これまでに得られた知見を援用して解析することで)合板内の接着不良箇所を非破壊で検出することを試みている。上記の成果を国際学会IRMMW-THz2018および2018 SWST/JWRS International Conventionで発表した。
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