研究課題
ゲノムワイド相関解析により、プロウイルス量の指標となる新規宿主側一塩基多型(SNP)マーカー3種類を同定し、得られた低および高プロウイルス量に関連するSNPマーカー保有牛にBLVを実験感染させ、RNA-seqを用いたトランスクリプトーム解析を実施し、906個の正および1328個の負の制御を受けている遺伝子を同定した。中でも有意差が最も高かったMMR遺伝子に注目し、BLVとの関係性を解明した。非感染牛および感染牛のRNAを抽出し、リアルタイムPCRを用いてMMR遺伝子の発現を解析すると同時にDNAを用いてプロウイルス量を測定した。その結果、7つのMMR遺伝子の内、MSH2、MSH3およびUNG遺伝子の発現量とプロウイルス量との間で相関性が認められた。次に、発症とMMR遺伝子発現の関連性を解析するためEBL発症牛のMMR遺伝子発現を解析したところ、EBL発症牛のMSH2、MSH6およびPMS2遺伝子の発現が低下傾向を示した。さらに、BLV感染性分子クローンをHeLaおよびPK15細胞に導入後、MMR遺伝子の発現を評価したところ、72時間後にHeLa細胞ではMSH2とEXO1遺伝子、PK15細胞では全てのMMR遺伝子発現が有意に増加した。BLV安定発現細胞株でも同様の結果が得られた。今回の結果からin vivoでの感染実験牛、野外牛、BLV一過的発現細胞およびBLV安定発現細胞において、BLVの発現がMMR遺伝子の発現に影響を与えることが立証された。以上から、BLV感染時に、感染細胞のDNAを恒常的に維持するため、MMR遺伝子発現を増加させる可能性が示唆された。一方、EBL発症牛ではMSH2、MSH6およびPMS2遺伝子の発現は低下傾向を示した。このことから、EBLの発症時にはDNAの恒常性を低下させるため、MMR遺伝子発現を低下させる可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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